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Re: 能力者Lvゼロ      ( No.130 )
日時: 2010/12/08 16:47
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

彼女は、タコの輪切りになった足を何ブロックかを刀で突き刺すと、クラウンの事を助け起こし、湖のほとりの小屋へと案内した。 どうやら敵意は無いらしく、今は安全といっていいだろう。

「黒薙童子、……死んだよ。 ……自己紹介がまだだったね。 私……楓」

彼女は木製のテーブルの上においてあった携帯電話をの画面を覗き込むとクラウンに告げた。 突然の有り得ない言葉に驚いたものの、画面を覗き込んで納得した。
発信元は、ヤマ・ジュヴァリアルとなっている。 一番最初に栄王の入団を勧めてくれたあの能力者だ。 
だが、死んだ事は信じられるが、内容は信じられないものだった。

『俺が、黒薙童子もろともシグマタイムドレインの心臓を突き刺す事に成功した。 シグマはその場で死亡、しばらくして童子も死亡。 次期栄王のボスはカイトとなる。 今現在、我々は黒薙童子の死体を捜索中である』

……。
長い沈黙がその場に流れる。 クラウンの感覚としては、銀河系が生まれてから滅亡するくらい長い時間に感じられた。
そんなクラウンとは反対に、

「君、クラウンだよね? さっきのタコ食べる?」

楓は先ほどのタコを既に捌いて刺身にしていた。 タコの足はまだ動いていて食べる気にはなれない。
それを気味が悪そうに見るクラウンに対し、

「……食べないの? 非ヘム鉄豊富で貧血には効果があるのに……。 肩の傷、……治したかったらこれ食べた方がいいよ」

その言葉と共に、無理やり口に押し込まれる感覚が……。 無理に押し込まれたせいだろう、フォークが舌に刺さって痛い。

「グ……あ゛——…。 また強烈な味で。 鉄臭い」

「無理にでも喰え、……薬だ。 ……薬になる。 で、クラウン.黒薙童子からの保護命令が出ていた、君をこの小屋に保護し、ヤマとは遭遇しないようにする。 黒薙童子を殺した、……つまり彼は敵だよ」

楓は手の平の中でいつの間にか大きな十手をクルクルと回していた。 それをクラウンに投げてよこす。

「それと、君は……どうも能力者戦じゃないと戦力としては数えられない。 ……だから、私が戦闘を引き受ける。 ……無闇やたらに攻撃……しないように。 で、第五支社へと送り届けて私の……任務は終了」