ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ ( No.137 )
- 日時: 2010/12/09 17:19
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
栄王の楔がこの世を去り数分後、カイトはクラウンの捜索を引き上げるとUFOを栄王拠点ビルへと飛ばしていた。 理由は簡単、童子の死体が敵の手に渡るのを防ぐためだ。
童子の死体が敵の手に渡れば、そこから栄王の情報と、圧倒的だった科学技術などが一気に漏れる。 もちろん、童子の組み立てた戦術も、拠点の場所も能力者の構成も、何もかもが……! 何をおいてもそれだけは阻止しなくてはならない。
童子自身もそれを予期してビルを崩したのだろうが、それはその場でクレイクロアの部下の手に自分の死体が渡るのを防ぐ程度の役割しかしていない。 つまり、誰かがあの場に戻って死体を回収し、完全に破壊しなければいけないのだ。
そうこうしている内に、UFOはビルの目前へと迫る。
下には、やはりクレイクロアの人間であろう能力者が多数童子の死体を探していた。 もちろん、一般人も大量巻き込まれているため、そなーなどの超音波などでさがそうとも、そう簡単には見つかることはないだろう。
だが、見つかるのも時間の問題だ。
「んじゃあ、吹っ飛ばずぞ!」
ならばやるべきことは唯一つ、クレイクロアの連中を出来るだけ確実に殺し、その間に童子の死体もろともこの周囲の大地を焼け野原に変える!
つまり、
「しっかり掴まってろよ!」
カイトがこのUFO唯一の操作ボタンに手を伸ばす。 そう、これがその破壊兵器。
「言われんでも掴まってるぞ、早くやれ。 幸い相手には俺達が見えていない」
「そう急かすなよアルテミス。 シェリーちゃん、俺は君の心にしっかりと掴まって……をムう゛ッ!」
「こんな時までふざけてんじゃないわよッ!」
ユーリにネディが思い切り蹴りを入れる。 しかも股間。 奇声を発し、その場で痛そうにユーリはうずくまる。 だが、ネディの容赦ない攻撃が数発繰り出され、ユーリはその場に沈んだ。 そんなユーリを呆れた目で見ながらアルテミスが支える。
もちろん、そんな事などお構いなしに会とはそのボタンを押した。
次の瞬間、恐らく機体の底の中心辺りからだろう、一瞬の眩い閃光の直後、周囲の景色は一変した。
辺りは文字通り、炎に包まれた形跡こそあるが、殆んど炎など上がっていない。
そして、辺り一体焼けた形跡こそ確かにあるのだが、何が焼けたのか、ここに何があったかなどといった町の形跡すらなくなっていた。