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Re: 能力者Lvゼロ      ( No.155 )
日時: 2010/12/14 18:33
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

「三……二……一……タイムアーップ! と言うわけで答えを聞けなかったので、ジェームズ! アジトに戻ろうよ。 ボクはお腹すいたし、それにここに居たらどんどん敵増えちゃうしさ」

気味の悪いくらい笑顔を維持し続けながらクロアは今まで向いていたクラウンと楓への視線をジェームズへと向ける。 
楓は既に戦意を喪失し、クラウンにいたっては相手が能力者にもかかわらず絵ベルゼロ能力が発動しない。 ……今までにこんな事は一度も無かった。
クラウンと楓の頭を撫でるとクロアはアリソンの真横を悠然と通り抜け、ジェームズに肩を貸す。

「ったく、早く助けに来てくれりゃ良いものを」

「無茶言わないでほしいなジェームズ。 どのタイミングで雇用がボクみたいなヒーローが現れる時はピンチの時さ、ピンチにならないとボクは現れないよん」

ジェームズの言葉に対し、クロアは笑いながら無駄口を叩くとその場に溶ける様にして……消えた !?
それからしばらく、その場にいた全員の緊張が解けたのだろう、

「あんた、……アリソンでしょ? 童子から話は聞いてるよ。 魔神……なんだって?」

楓の口から思いもよらぬ言葉が吐き出された。 それと共に、クラウンの中であの言葉が蘇る。
“能力者の概念は魔神にでも聞いてくれ、俺は知らん”
あの湖に落ちたときに聞いた言葉だ。

「ええ、結構長い事魔神やってる。 私は元人間だけどね、新種のエネルギー、魔力を開発してただの人間から魔神に天照ババア直々に大抜擢された。 元はと言えば、——…」

「私を生き返らせようとして作り上げた高濃度で不規則変換可能な新種の生命エネルギーの所為ですね」

紫色の髪をした風変わりな青年が手に紙を一枚持ってアリソンの後ろから現れた。 どうやら浮かない顔をしている。

「アリソン、やはり無理でしたよ。 ですが、言葉通りに従えと言う言葉はもらってきました」

その言葉を聞いた直後、アリソンは勢いよく立ち上がる! そして、満面の笑みを浮かべ、

「よくやった! ナイスだよ!」

どうやら機嫌がよくなったらしい。 この間に聞いておくべきだろう。

「いきなり質問で悪いのですが、能力者を作ったのは貴方らしいじゃないですか。 一体何の目的で能力者を……?」

「何世紀も昔、人間が私と始めて魔神としての認識を持って遭遇した。 その人間が、“恋人が死に掛けている、何とか助けてやれないだろうか?”って言うから、私は適当に魔力を魔界の門をこじ開けて地上に魔力を撒いたの。 で、その魔力の影響を強く受けた者が君たちの言い方で能力者に成ったわけ。 全ては人間の欲が始まりなんだよ、この物語は……!」