ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ ( No.185 )
- 日時: 2010/12/22 13:44
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
「つまりあんたは今その能力と引き換えに残っている体力の殆んどを消費したってワケ? だったらもう死は早いね」
せせら笑う山吹に対し、軽くバランスを崩しかけている麻記那は挑発的な目つきで、
「まあそういうこと。 元々はもっと早いうちに使うべきものだけど、早いうちに使っちゃったら感動とインパクトになんだか欠けるじゃん?」
山吹の怒りを買ったのか、翼をその場で消し去ると、山吹は両腕を強化したのだろう。 異常に大きく変形した手の平で麻記那の顔面を握り潰しに掛かる! だがそれとほぼ同時に麻記那の背にある六枚の翼にも見えなくない骨の板がその手をいなすと別の板が山吹を軽々と……吹き飛ばす!
「この翼は、骸骨って呼んでる。 私の命、余命と引き換えに、強大な力を発揮する。 その力は童子のそれを軽く凌ぐ。 降参するなら今のうちだよ?」
麻記那の言葉に、吹き飛ばされて海面を飛んでいる山吹は冷笑する。
そんな降参などする気は毛頭無く、むしろ殺してやろうと言う意思がハッキリと感じ取れる。 ただ、重量の問題で吹き飛ばされているだけだ。 耐え切れなくも無ければ、吹き飛ばぬよう耐えるのもワケはない。
「へぇ、骨の翼か。 確かに全身の血の巡りが一気に悪くなっているね。 いささか寿命が縮むと言うのは嘘じゃないらしい、心臓も通常の10倍近い速さで鼓動を刻んでる」
もはや衝撃と外傷で沈みかけている軍艦に降り立つと、先ほどまで紅かった青い左目が麻記那を睨む。
「——魔神の眼球……! 貴様、何処でそれを!」
山吹の瞳を見た麻記那の表情が憤怒一色に変わる。 それもそうだ、魔神の眼球は元々童子が持っていたものしかこの世界には存在しないはずなのだ。 今奴が持っている理由があるとすれば、童子から奪った以外何も無い。
「顔の色が変わったね。 でも残念、これは模造品だから本物ほどの出力はないわ。 まあ、相手の何処を如何攻撃すれば死ぬか程度の情報は得られるけどね」
怒りに満ちた表情を浮かべる麻記那を、山吹はその言葉と共に一閃の閃光を放ち心臓の鼓動に終期符を打った。 麻記那は静かに跪くと前のめりに倒れた。