ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ ( No.192 )
- 日時: 2010/12/24 17:23
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
「あ〜あ、逃げられちゃった。 部下には“全部これで終わらせる”って言ったのにな、かっこ悪い」
クロアは言葉とは裏腹に、クラウンたちに逃げられたのを楽しがっているかのような口調だ。 そこへ黒い車がクロアを確認して停車する。 5時間前の迎えに来るようにといったあれだ。
車のドアが開かれ、大きな筋肉質の強面顔男がクロアに頭を下げる。 まるでヤクザみたいだ。
「ボス、お疲れ様です」
「疲れてないから気にしなくていいよ。 頭も上げて。 で、メンバーの収集は順調? 君の任務は本来そっちだからね、何人くらい集まった?」
「恐れながら。 10万人程度です、数は圧倒的に上かと。 ですがこちらの現在状況を見る限りでは栄王旅団との平均的なレベルの差が1,2程ございます。 故に数で攻めてみてはいかがでしょうか?」
その部下の言葉に、
「ねえ、ジョセフクン。 能力者じゃない君には分からないかもしれないけど、能力者はレベルが1違えばもうその能力は何倍も違うんだよ。 中にはレベル無視できるような能力を持った子も居るけど、それは殆んど居ない」
そういうと、クロアはエクレアを一口頬張り話を続ける。
「それに、能力者はそのレベルの高さにもよるけどレベルの差が能力の差に大きく関わってくる。 レベルⅣとⅤでは7倍近く違う。 だから、数で攻めて全滅させられるより強いの少数で攻めた方がいいの。 それで、運命って結構残酷でさ。 生きている間に能力者の能力レベルはまず上がらない。 実際にレベルⅠがⅡになった話は時々聞くけどレベルⅠがⅤなった話は聞かないだろ?」
言葉が終わるとともにクロアはエクレアを食べ切り、袋をたたんで丸めていた。 そして、
「さて、お喋りはここまでにして次の標的へ向ってよ。 目指すは国家第八支部、元老院の集会所だ」
その命令を下すと同時にクロアの乗ったその車は走り出した。
- Re: 能力者Lvゼロ ( No.193 )
- 日時: 2010/12/29 15:06
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
それからしばらくして、事は起きた。
「あくびの出るような退屈な戦闘は勘弁してよ、ボクはもっと強い刺激が欲しいんだから」
紅い髪をヘアピンで留めた眼帯の男が、大きなペンタゴンにも似た5階建ての建造物の警備員の首を次々と捻り切って行く。 その疾い動きが警備員を翻弄し、警備の人間はただ成す術なく一方的に殺されている状態だった。
それを止めるかのように、建物から何人もの能力者が駆け出してくる。 恐らくそれなりに強さが認められているのだろう、明らかに今までの警備員とは雰囲気が違う。
「貴様、政府に仕える身で有りながら何故歯向かう……?」
「身の程を知れクロア! 貴様一人で何が出来る!」
「んー、特にこれといった理由は無いよ。 ただボクの方が政府よりも強くて最も神に近い人間だから世界を総べるのに相応しいのはボク以外にいないだろうと思ってさ。 元老院のクソジジイたちにはもうこの世に未練は無いだろうし、御暇願いに来たのさ」
その言葉と共に黒い雷電が一瞬にして辺りを焼き払った。 苦痛を与える事もなく、ただ一瞬の出来事だった。 だが、それに対応した者も4人居る。 もちろん全員レベルⅤだ。
「へー、意外だな。 ジジイ共がレベルⅤを4人も所有してたなんてさ」
「貴様ッ!」
その中の一人がクロアに襲い掛かる! だが、クロアに触れるか触れないかの内に、地面から突如生えて来た巨木に打ち上げられた。
打ち上げられた奴はそのまま空中で宙返りをすると地面へと着地した。 だが、着地する必要など殆んど無い。
「さて、もうそろそろ君達と遊ぶのも飽きてきた」
着地した直後にクロアの手が頭を掴む。 そして……
「ボクが今すぐ皆壊してあげるから、攻撃されたら君達も壊れるように」
と言う言葉と同時に、黒い雷電がそいつを焼く。
「ディオ!」
「えー、ディオって言ったんだ。 今の彼、君のボーイフレンド?」
クロアの瞳が次の狙いを定める。
「貴様……よくも……!」
そして、襲い掛かってきた奴の攻撃を避け油断していたクロアに巨大なプラズマと思しき球体が迫る……!
だがクロアはそれを避ける素振りも見せず、
「鬱陶しいな、小さい器で任務ご苦労様。 次期大総統として二階級特進を君達にプレゼントするよ」
片手で受け止め、最初に襲い掛かってきた奴に叩き付ける! そしてそれに気をとられている謎の球体を撃ち放った奴の目の前へと瞬間移動すると頭を抱え、首を捻り切った。
関節の外れるゴキゴキッ! という嫌な音がする。
「さて、残るは君だけだよ。 水鏡 幻華、君は素晴らしい判断力だね、仲間を犠牲に相手の強さを測るとは。 よかったらボクの仲間にならない?」
そして最後の一人にクロアは紅い右目を向ける。 彼女は長い黒髪を束ね直しながら、死体のような黒い瞳をクロアに向ける。
感情など感じられない、そこにクロアが居るにもかかわらず人形が死体を見ているかのような感情の無い瞳だ。
「私はさ、一応公務員で警備員だから。 戦わないといけないんだけど、君本当に大総統になれる器があるの?」
彼女の口から、下手な演技でもしているかのような言葉が吐き出される。 その口調を聞いて、クロアは満足そうに微笑んだ。
