ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 能力者Lvゼロ      ( No.208 )
日時: 2010/12/27 22:39
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
参照: 古式騎士N-0の絵は描けているけど載せるとネタバレ…

国家第八支部、元老院集会所内で我が物顔で歩みを進めるクロアに、水鏡が、

「キツイ軍服から私服に着替えてから後を追うから先行っててください。 私も後から追います」

丁度通りかかった部屋の扉を開き、腰の身長に対して大きすぎる太刀の切っ先を床に引き摺りながら入っていった。 クロアは今現在フリーだ、

「今ならやれる。 相手は単体だ、いくら強かろうと数で攻めてしまえば奴に成す術はない」

そんな考えで突っ込む馬鹿が数名。 もちろん警備員で、能力は無い。 能力者であればそんな馬鹿げた考えは浮かばない。 最も、能力者にもクロアのレベルは不明だ。 大体、不明の場合はレベルゼロ認識だが、レベル型である保証も無い。
そんな集団をクロアは易々と蹴散らし、クロアは長い老化を紅く染めながら歩みを進める。 
そこに……、

「へえ、珍しいお客だね。 ユーリ君、君まさかとは思うけどここに古式騎士N-0があると思って来たのかい?」

「まさか、俺にはあのお若すぎるボスは何にも告げてねえよ。 キオクを読まれたら困るらしいからな。 だが、これだけはハッキリしてる。 ここにある何かをカイトは欲しているらしい、第六次能力戦争アビリティウォーズが勃発する前に手に入れろとさ」

その言葉が終わるや否や、ユーリは刃状の炎をクロアめがけて飛ばす。 だが、クロアは避けるどころか片手で受け止め、握り潰した。
そして、冷笑すると共に一瞬でユーリの目の前へ躍り出る!

「中々良い太刀筋だ、君が敵で殺さなきゃいけないなんてなんだか忍びないな」

その言葉と共にクロアの右手がユーリの胸に押し当てられ、一瞬紅い雷電が光ったかと思えばユーリは気が付くとクロアとははるか遠く、30m以上飛ばされ廊下の曲がり角の所で壁へと撃ち付けられた。 背中が痛い。

「クソが、マジかよ。 この力は一体なんだ?」

「知りませんよそんなこと。 さて、ユーリさん。 反撃と行きましょうか? それとも逃げます? ボスはヤバイ時は迷わず逃げろと言ってましたし」

丁度ユーリの叩きつけられた過度から音を聞きつけてきたのか空がひょっこりと現れた。 それを見て、クロアは目の色が変わった。 
長い廊下をクロアはゆっくりとユーリたちのほうへ歩み寄ってくる。

「君は……壁亜 空だよね? 中々可愛いじゃないか」

その言葉に完全に警戒し、空は何処からとも無く刀を取り出すと、クロアの攻撃に備えるようにその場で構える。 ユーリもゆっくりと起き上がるとその場で剣を構える。 それを見て、クロアは手で手刀を構えると、その手が黒い光を発した。
見ればその光が伸び、剣と化している。

「独龍刀。 魔神のパートナーの得意技だよ、手ぶらの時に使えるらしい」

剣を構える二人に対し、クロアは楽しそうに微笑んだ。

Re: 能力者Lvゼロ      ( No.209 )
日時: 2010/12/29 15:05
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

国家第八支部、元老院集会所内に向うに当たり、

「ジェームズと遭遇したら戦うな。 それが最も賢い方法だ」

「ダアホ、いずれ仕留めなきゃならねえんだ。 今のうちに遭遇したら殺っちまうべきだろ、カイト」

「駄目だ。相手はレベルⅥ、単純計算で100単位での誤差はあるだろうがレベルⅤ能力者の7776倍の戦力に匹敵する。 単体では如何に君がレベルⅤでも勝ち目は無い」

ジェームズを殺すべきだと主張するユーリに、カイトが真っ向から反対する。 これによってUFO内での作戦会議中、ジェームズは殺さず退避しろということでその考えは纏まった。 だが、この男の話は一切出ていない。
つまり、ジェームズほどではない一般能力者兵とでも言った所だろう。 そして、珍しい事にレベルゼロ。
なんだか最近レベルゼロ能力者が多い気がする。

「んん〜……。 ユーリ君、君はボクを甘く見ているようだね。 まあ無理も無いか、最近までボクの存在は国家の最重要極秘事項だったからね。 表に出たことなんて一度も無かったし。 いいだろう、自己紹介といこうか。 ボクはクレイクロアボス、クロアだ。 人間だった頃の名前は九条 楔って言うんだ。 ヨロシク」

その言葉を聴いて、二人は凍りついたようにその場に立ち尽くす。 
相手はただ単純に固定されたかのような笑顔を向けてくる青年でしかないにもかかわらず自己紹介直後のこのプレッシャー、戦闘経験の無い一般人どころか軍隊を引っ張ってきても恐らく大半が足を竦ませ動けなくなるか気絶するだろう。
コイツ……ジェームズとか言うレベルじゃない、明らかに危険で戦闘を行った後の結果は見えている。 恐らく空も同じ結果が見えているのだろうが、恐怖を感じているようには見えない。

「ねえ、私達も自己紹介した方が良い?」

刀を構え、多少では有るが警戒しながら空がクロアに問い掛ける。 だが、クロアは目を瞑って首を横に振ると——消えた !?

「そんな必要は無いよ、多分君達はボクの手でここで永遠に這い蹲る事になるだろうからさ。 詰まるところ殺しはしないけれど君達には元老院の兵隊を集める囮になってもらうよ」

その言葉と共に、クロアがユーリの後ろから現れると黒い剣ではなく手刀で首へ一閃。 打撃一撃でユーリはその場にひれ伏した。 続いてクロアは空を狙ったが、その手はユーリの刃によって阻まれる……!

「あっぶねーな、結構今のは効いたぞ。 マジで首の骨が折れるかと思った、ああイテー。 で、空。 これ終わったらどっか食事にでも行かないか?」

「デートのお誘いで? 悪いけど遠慮させてもらいます」

「あらら、振られちまった。 まあ……良いかッ!」

刃がクロアの手を押し返す……!

「誘うの失敗はいつもの事だしよ」

「それは貴方に魅力が無いからじゃないのですか?」

空は冷静にユーリを蔑む。 

「ほっとけ!」