ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 能力者Lvゼロ      ( No.210 )
日時: 2010/12/28 13:53
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

「中々君達賑やかだね、ボクの目の前でそんなコントを始めたのは君達が初めてだよ」

固定されたかのような笑顔をユーリへ向け、クロアが平然と言い放つ。 それが気に入らなかったのか、空は刀で油断しきっていたクロアの腹を居合いで真っ二つに切り裂く! 手応えはあった、背骨も一部切れたし、何より出血の量が半端ではない。
——勝った!
そんな事を思った直後、不適にもクロアの口元が笑っているのがユーリの目に入る。 これは……危険だ!

「避けろッ!」

直後、黒い閃光と共に二人は軽々と吹き飛ばされ壁へと叩きつけられた。 相変わらず背中が相当痛い、もう少し飛ばされるスピードが遅ければ対応できるのだが……。
怯んだ二人に、クロアは追い討ちを掛けるように風の如く迫り来る! 怯んだ二人からすればクロアの動きは相当早い。 それも、怪我をしているのに——……!
怪我が……消えている !?

「甘いね、ボクは胴体を二つに分断されても死なないよ! 最も、ボクを殺せるのはクラウンの能力と古式騎士N-0型くらいのものだろうね! それも、極低確率でさ!」

次の瞬間、目の前に居たクロアが消えた! ユーリが慌てて周囲の気配を察知したと共に黒い閃光が辺りを隠す!
気配のするほうへ向くと空が真横でクロアの雷電をモロに受けたらしい。 服が一部焦げている。

「さて、ユーリ君。 次は君だね、レベルⅤごとき僕の敵じゃないよ——……」

クロアの言葉を遮るかの様にそこで携帯電話が鳴った。 しかも着メロが某アニメの群れるのがキライな彼のキャラソンと来た。
呆れてユーリは隙を見せるが、クロアは電話に気を取られてこちらへは見向きもしない。 今が……チャンスか……?
考えるより早くユーリの体は動いていた。 初太刀を避けられるとそのまま剣を床へ突きたて腕力で体を浮かせて蹴り飛ばす! だがユーリの攻撃を意図も簡単にクロアは片手で止めて見せ、

「え、冗談やめてよ。 紅葉ちゃんがそんな簡単にくたばるわけ無いだろジェームズ。 しかも自殺って冗談きついな〜」

ニコニコしながら携帯で仲間と連絡を取り会っている。 受け止められた右足を軸に剣を手放すとユーリは床に手を付き逆立ちしながらクロアを足で投げ飛ばす! 軽々とクロアは携帯を片手に吹き飛ぶが、空中で体制を整えると壁に着地する。 
飛んだまでは良い。 だが、飛ばされないであろうクロアが自分の足から手を放したことには疑問が残る。
そしてクロアが携帯をきった直後、辺りに言いようの無い身の毛もよだつような……いや、それでは余りにも温過ぎる表現だ。 全身の皮膚が引き剥がされる感覚とでも言うのが正しいような殺気が充満したと表現するべきだろう。
先ほどまでとは打って変わってクロアの固定された笑顔が憤怒の形相に変わり、

「紅葉、君の仲間が殺したってさ。 よかったね、ボクの兵隊が減って」

その言いようの無い怒り以外に何も写してはいないクロアの瞳がユーリをその場に縫い付けた。 
こいつは、如何足掻いても殺せない……。