ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 能力者Lvゼロ      ( No.244 )
日時: 2011/01/03 13:40
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

クロアの言葉が指していたのは、ユーリと空ではなかった。 そう、この場に現れるであろう第三者。 
そう、たった今外で咆哮と共に能力を存分に発揮し、無を操る事を思い出した第三者が……!

「遅カッタナ、クラウン。 君ノ事ダ、此処ニ来ルト分カッテタヨ」

クロアの言葉と共に、周囲の建造物が消し飛んだ。 もちろん、文字通り消し飛んだのだ。 破片も何もなく、その場に吸い込まれ、消えるように!

「うん、ボクがボクで居られるかどうかなんていうのは目的を達成した後の話だよね。 ボクは、私らしく、無を操り古式騎士を破壊することに全力で取り組もうか。 私がボクでいられるかどうかなんてその後だ」

クラウンはクロアと対照的に手の平で純白の雷電を操っている。 もちろん、この能力は元々クラウンの持っていた能力。 

「クロア、どうやら君と私は終になる存在らしいね。 にしてもその姿を見るのは何年ぶりだろう。 孤児院襲撃事件以来だよ」

「ホウ、記憶ガ戻ッタノカ。 ダガモウ遅イ、ボクハモウ完全ナ化物。 力ヲ取リ戻ソウトモ今ノボクヲ止ルコトハデキナイヨ」

クロアとクラウンの会話の隙を縫って古式騎士が襲い掛かる! だが、クロアはクラウンの方を向いたままその拳を避け、腕を掴むと霧散する前にクラウンへと投げ飛ばす! だがそれを予期していたかのように、クラウンは手の平の雷電を周囲に拡散させると電磁バリアの如く古式騎士との衝突を避けた。

「もうこうなったらどちらともが化物だよ。 君に限らず、私もね」

クラウンの言葉と共に、クロアの黒い姿が解除されたらしい、元の姿に戻ると共に、息が上がっている。 相当体力を消費するらしい。
そして、クラウンは言葉を続ける。

「孤児院から政府の雇われ兵隊に浚われた時は確かに殺されると思ったよ。 あの頃は能力者撲滅運動が盛んだったからね。 その工作員だと思ったら、部屋に連れていかれて生体実験のモルモットにされると来た。 流石にそれは勘弁しかねて暴れてみたら、誰だか知らない奴と融合されて能力の複数適合に使われるわ、散々だったよ。 まったく、政府の馬鹿を殺してくれたことには感謝するけど、孤児院を守ろうとして戦った頃の姿に戻るなんて、君には失望したよ」

クラウンが楽しそうにクロアを眺める。 だが、その変身も解け、体表を覆っていた謎の黒いスライムのような物がクロアの足元に落ちている。 どうやらそれは、古式騎士と同じ材質の物らしい。

「失敬な。 僕が我を忘れるのは——……」

「自分の玩具が壊された時くらいだったね。 私って結構物覚えがいいんだよ」

「最近まで自分が誰だか分からなかった奴がよく言うよ」

クロアの手の平に再びあの漆黒の雷電が迸る!

「でもまあ、いっか。 久しぶりに政府に二人で牙を剥いてみるとしようか、あのときみたいにさ」

その言葉を聴いてクラウンの周囲を純白の雷電が飛び回る。 

「そうだね。 久しぶりに組織のことを忘れて昔の好で馬鹿な人間に鉄槌を下そうか。 ……で、スコアは?」

「ボクが11点止まりで捕獲されて、君が10点止まりで捕獲された。 ボクが1点リードしてる。 で、この黒い奴の点数は20点でどう?」

「上等、受けて立つよ!」

そうこう話を続けるうちに、古式騎士が再起動したらしい。 黒い靄が、周囲を包み、人型が更に大きくなる!