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Re: 能力者Lvゼロ      ( No.252 )
日時: 2011/01/05 14:25
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

古式騎士の直接攻撃を誘うクラウンは、そのまま考えなしに相手へと猛突する! だが、古式騎士の能力を考えていればそれは命取りとでもいうような無謀な行動だ。
そう、古式騎士の能力は特定人物と同じ能力を得る事。 すなわち童子の使っていた凍てつく炎で周囲を焼き払う能力だって使える、と言う訳だ。
そして更には、持っていた道具すらその体を作り上げている物質で再現できると来た。 まさに、童子の相手をしているに等しい。
古式騎士はその証拠に両手で童子の使っていた大剣を軽々と振り回している。
そして、魔法を扱ってはいたが、童子自身の能力は一切使わず童子は死んでいる。 つまり、相手の固有能力は未知数。
そして更には古式騎士本来の力をプラスした戦闘能力。 それが童子の能力、判断力と合わされば相当危険だ。

「クラウン、引いた方がいいよ。 ボクの見立てではそいつ、何か手元で準備してる」

クロアの言葉に反応し、古式騎士の攻撃を紙一重で避ける。 その攻撃は、真っ黒い鎖だ。 恐らくこれも当たれば相当危ない。 古式騎士と同じ物質であれば確実に半液状ブラックメタル。 
すなわち、能力が発動できなくなる事を指している。 いつかの村の時計塔で探したあれだ。

「ッ、避けやがったか。 だが次は……避けさせる気はねえよ!」

…… !?
コイツ、口を利いた! 知能までトレースしているのか、相当危ない! 殆んど判断力だけで童子はシグマを殺している、知識まで追加されてはこちらの攻撃を逆手に取る程度のことは当たり前のようにやるだろう。
ほら、鎖を避けた直ぐ後ろから避けようがない速さであの大きな剣が迫り来る! 

「ッ!」

「避けねえのか?」

とっさに目を閉じ、剣の軌道を腰に有った十手で止める! それとほぼ同時に嫌な金属音が辺りに木霊する。
古式騎士は十手で止められた事に相当驚いたらしく、大剣を引っ込めると距離を置き、

「此処が砂漠でよかったな! 死ぬ事はあるまい!」

クラウンに手をかざし、あの青白い冷え切った火炎弾を飛ばす! だが、突如二人の間に生えて来た巨木に遮られる! 黒い電撃がその巨木にまとわり付いている。

「あのさ、魔法なんてあり? 遠距離攻撃なんて張り合い無いな、ボクだったら——……」

巨木に気を取られた古式騎士の真後ろからクロアの黒い電撃が迫る! もちろんの事古式騎士はそれを大剣でなぎ払い、地面にたたきつけるがそれもクロアの計算範囲内だったらしい。
電撃が地面に当たったとたん無数の巨大な石のトゲが古式騎士を貫いた。

「……何するんだよ」

「さあね? 蹴り飛ばすつもりだったけども」

だが、よろける事も無く平然と鬱陶しそうにトゲを引き抜き迫り来るクロアへと投げ返す! それをクロアはギリギリで避けると体制を崩したその時に斬りかかって来るであろう古式騎士の剣を避けるため一瞬で生やした巨木で自らの体を打上げる!
クロアが上へ飛んだ直後、古式騎士の大剣がその巨木を真っ二つに切り裂き地面をも陥没させた。
砂漠に大きなクレーターが刻まれた。 

「クラウン! こいつの能力が割れた、上限無し! 限界突破だ! 童子の持ってたクロガネ、白銀でもここまでの攻撃は無理! となるとやっぱり大剣の強度の限界突破、身体能力の限界突破をしている以外に結論は無い! 限界突破はそれ以外に類似する能力は皆無だ!」

落下しながら得た情報の結論をクロアが叫ぶ。
本当に限界突破であれば笑い事ではない、限界が無いという事は、どれだけでも早く、どれだけでも破壊的な力をも生み出すという事。
下手をすればこの星すら殴り壊せる……!

「クロア、足止めして! 古式騎士コイツ一瞬で消し飛ばす、木で閉じ込めて!」