ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 能力者Lvゼロ      ( No.261 )
日時: 2011/01/11 21:35
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

……。 クロアは狂ったように自問自答を繰り返す。 これが、誰も予期できなかったリスクその四。
自分に思考が伝染する。 
有り得ない事ではない、一時的に記憶を塗りつけるために自らの脳を相手の脳と接続するのだから。 正常な一定方向の流れがあるなら、逆流もあっておかしくはない。
そこに、一人の人影がゆっくりと近づく。 それは黒い影で、古式騎士を連想させたが敵意を感じない。

「クロア、君の罪は清算された。 私、魔神は規約に則りここで人の子、九条 楔を許す物とする。 ご苦労様、自問自答を永遠に繰り返す機械に成り下がるのも可哀想だし、私が全て取り計らっておくよ。 私が古式騎士に組み込んだプログラムはこの一件が終わるまで発動し続けよう。 それと、クラウン、一条 禊は私が責任を持って記憶の修復及び過去の修復を行う。 で、楔。 君は仲間を見殺しに……」

「しない。 ボクは、仲間が欲しくて組織を裏切った。 そして、今この争いで仲間が何人も死んでいる。 ボスとして、放っておけないよ」

「よろしい」

その人影は手を触れることなくクラウンを担ぐとクロアの傷を剥がすように消し去り空間に吸い込まれるようにして消えた。

一方、国家第八支部内ではクラウン達以上に激戦が繰り広げられていた。 そこら辺を火花が舞散り、光弾が飛び交い、炎がそれを焼き尽くす。
一言で言い表そうものなら地獄絵図とでも言うべきか、無数の死体を踏みつけ階とたちは前進する。
まだ能力を扱える、……クラウンたちはまだ古式騎士を破壊できていないと言う事だ。
早くしてくれないと、人数で押される! 国家能力兵がこんなに多いとは予想外だ、途中参戦したジェームズがいても相当キツイ! だがまだ応援が次々と呼ばれて来る上に、相手には死者蘇生能力者がいると来た!
さっきから殺しては復活し、応援で数が増えるの繰り返し! こんなの、止めようがない。 復活能力を持った兵を仕留めるか? いや、そいつの周りは磐石の守り、一枚岩どころか分厚い鉄板と言っても差し支えない。
どうする……? 童子から栄王を預かった身としても、これは突破できて当然の状態だ。 童子なら考えもしないような考えで、易々と突破してしまうだろう。 恐らく、童子がいればこの状況は10分無くて解決する。 だが、今はそんな事を嘆いても仕方が無い。 出来る事をやるだけだ。

「ユーリは後ろから来る敵をネディ、ヤマ、リザ、藤井と確実に潰せ! リザ、ヤマは倒した敵の死体を出来る限り遠くへ消せ。 主にユーリとネディで攻めろ! 正面はジェームズと水鏡が守っていて相手も迂闊に手出しが出来てない。 となれば空中から攻めてくる相手はセシルと空、ジェリーの三人で確実に仕留めろ! セシルとジェリーは空の取りこぼしを防ぎ古式騎士の破片と元老院の死体を渡すな!」

ほかに攻めてくるとしたら何処だ? 前後、左右は問題ない。 アルテミスと楓が守っている。 そして、中心の元老院の死体が相手に渡れば確実にこちらの情報ログが漏れる。 このジジイの能力は確か、過去分析、相手の今までの行動を全て読み取れる。 今までの努力と資料、その他全ての作戦が全て漏れて水の泡だ。 場合によっては死んでからも情報を蓄積している可能性もある! それが漏れれば首謀者は俺とクロアだけでは済まない!

「考えろ、相手はまだ死体へは到達していない。 今がまだ考えられる時間だ」

考えろ。
考えろ、考えろ、何でも良い。 相手を蹴散らさなくても良い。 相手を撤退させる方法を、ここから抜け出す方法を! ヤマの能力ではもう全員を遠くへ飛ばすほどの魔力は残っていない。 ならば空の能力で表を降らして相手を煙にまいた隙に……。 だめだ、直ぐに追跡される。 他の奴らは移動などできる能力ではない。 何でも良い、何か良い案は無いのか !?