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Re: 能力者Lvゼロ      ( No.267 )
日時: 2011/02/02 21:36
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

「核爆弾とは、……また古風な手を使った物だな人間……!」

死神は、その言葉と共に、手の平から紅いスライムのような光線で核弾頭を絡め取るとそのままスライムの中で爆発させた。 轟音が、辺りを騒がせる。

「さあ、説明再開だ。 その前に、私の、いや、俺の正体を明かすとしよう」

その言葉と共に、仮面を剥がすと黒い長髪が露になり、クラウンとはまた違った刺さるような鋭い視線と、仮面の物だと思っていた小さな水牛のように捻った形の角の男……。 カイトにはその男に見覚えがあった。

「まさか、魔王か……?」

「如何にも、私が、俺が、我輩が、魔王であるぞ……? と、堅苦しいのは苦手でな。 俺もまあ忙しい身で、暇ではない。 要点のみをまとめて言う、勝手に理解しろ。 まず一つ目、魔神は能力者の能力を消し去る事を決定した。 数日のうちに生きている能力者の能力は全て消滅する。 だが、貴様らは別枠で能力を持ち続けたければ持ち続けられるそうだ。 捨てたければその力を捨てろ。 次に、今までの騒動で死んだ物は全てリセットされる。 だが、黒薙 童子と山吹 紅葉に限っては本人が蘇生を拒否したため蘇生はしない。 以上だ、サエ!リア! 今死んでいるこの兵隊どもの記憶を全て消し、代わりの記憶を修復しなおせ」

「承知しました」

「お任せください」

その言葉を発する前に、既に二人は周囲を不思議な白い霧のような物で覆っていた。
見る見るうちに周囲が復元されていく。 物体の現状もどうやら記憶に当たるらしい。 大部分が壊れる前と殆んど同じように復元され、辺りに散乱していた破片は全てパズルを組み合わせるかのようにもとの部位に飛んでいく。

「さあ、全てが終わった。 クラウンにはどうも魔神本人が話したいことがあるようだ。 故に、貴様らの前に現れるのは如何だろうな……。 二度と現れぬかもしれんがまあ、いつか会えるだろう」

それだけを言い残し、三人の姿は空間に溶け込むようにして消えた。 周囲の全てを何事も無かったかのように元に戻して。