ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ ( No.276 )
- 日時: 2011/02/05 16:38
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
「で、クラウン。 君の世界は管理コード『±QRsp11(イレブン)AGP』と呼ばれていて、通称、『未知なる世界』だ。 まあ、未知たって何千個もそんな世界は有るんだ。 天照のババアが創造に失敗して偶発的に誕生した本線の世界とは違ったパラレルワールドさ。 でも、君にはこの世界が本線だ、悲観する事は無い。 で、その世界の観察と管理を任されているのが私、魔神のアリソン・F・セイファートってわけ。 で……」
アリソンは言葉の途中、徐に長い髪の中に手を突っ込むと、モルモット大の小さな紅い……龍? を取り出し、
「この子がこの世界の分身なんだ。 ミゲルって呼んでる。 魔力を分け与える事で巨大化、急成長する能力を持っててね。 私が別の任務を達成する際にミゲルに魔力を与えすぎちゃって……能力が地上に出ちゃったんだ」
襟首を掴んでぶら下げて見せた。 するとその体調30cm程度の流派小さな翼と両手足をバタつかせてそこから逃げ出そうそして居る。
だが、アリソンはそんな事など関係無しに話を続けようとするが、一瞬の隙を突いてミゲルは机の上へと脱出し、船外へと翼を使っての逃亡を試みたが、アリソンのコートのポケットから出てきたわら人形に合えなく拘束され、捕まった。
なんだか、微笑ましい光景だ。
「で、ミゲルはこの世界と同調してるから、ミゲルの取り込んだ分の魔力がこの世界の大気に混じり、魔力に反応して突然変異を起こした人間が能力者ってわけ」
「まあ、実際はそんな簡単な事ではないがな。 魔海戦争の際に魔力の大量流出だけではなく、数秒間とはいえ魔界とこの世界がリンクした際に流れ込んだ魔界の大気の影響も大きい。 実際、実験結果で言えば数千分の一に薄めた魔界の空気を魔力を多く含む空気に混ぜ、地上生命の生存実験を行った所、ハムスターが獰猛な大型肉食獣に変わった。 それも、たった5世代で、火を噴くという特殊能力まで身に着けていた程だ。 更には、育成過程でも通常の10倍近い大きさに成長した」
「どーでもいいよそんな事は。 魔界じゃ一番弱い兎が熊並の能力を持ってるし。 それに、読者はもう私達の話に飽きてきてると思うんだよね」
……読者? 分けわかんないんですけど……。
「読者ってなに? 今はただの話し合いでしょ?」
「いや、ね。 大体何処の世界にも他の世界の情報が隠れているわけよ。 例えば、書物の物語になっていたり、予言だったりでね。 で、大体は書物として別の世界に存在する場合が多いから、今回は読者って言ったわけだけど、予言でも面白くないのは嫌じゃん」
よーするに、今までの話は別の世界にさまざまな形で存在すると言いたいわけなのだろう。 だが、それが真実かどうかなど確かめようが無い。 一体全体、どうやってそんな事を調べたんだ……?
「何でそんな事がいえるの?」
「預言者は……別の世界が見える。 大体、殆んど変わらない、ズレの少ない世界が見える。 故に、預言者の予言は当たるのだが、……クラウン、貴様が良い例だろう」
サタンの言葉が、クラウンの脳内を引っ掻き回し、混乱させる。 自分が良い例だって? どうしてそんな事が言える? どうして、そんな事が……
「……そうか、私の反転能力」
「そのとうりじゃ、察しがええな。 ワシの部下に欲しい」
「黙れ閻魔大王、今はその様な話をする時ではない」
少しづつ、繋がっていく。 自分の記憶の矛盾が、消えていく。
「つまりだよ、クラウン。 君は別の世界の君との融合実験に使われたんだ。 タイムマシンや、別次元への移動、それと魔力に関するトラブルを解消するのが私達だからね。 人間が世界を自らの手で変えないように、私達が存在する。 故に、それに反している存在である君の処分を私達が決めなくてはいけないんだよ」