ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者” ( No.66 )
- 日時: 2010/11/20 21:20
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
黒薙童子__それは昔、仲間をその手で殺した経歴の存在する悪魔。 それが世間一般的な、彼の評価だ。
だが、彼も仲間を殺したくて殺したのではない。 やむなく殺させられたのだ。
そう、
「察しの通り、俺は仲間殺しの黒薙童子だ。 一応断っておくが、俺はあんたらを殺すつもりは無い」
拒絶されるであろうその言葉を、クラウンは再びポケットから取り出した板チョコレートを平然と齧り、シェリーは不意打ちにも対応できるよう腰の銃へと手を伸ばす。
シェリーの手が銃に向っているのを確認して、
「止めなよ、この人は悪い人じゃないよ。そういう雰囲気じゃないし、殺気がまったく感じられない」
「止めておけ、そんな物じゃ俺は殺せない」
クラウンと童子がまったく同じタイミングで静止の言葉を口にする。
それを聞いてか、シェリーは銃に伸ばしていた手を引っ込めると机の上へと出して見せた。
それを、童子は敵意が無いと見て油断するが、クラウンはそれでもなおシェリーの方を向き続けた。 理由は簡単。
ジャケットの裏にある、
「手榴弾もストップ。殺傷目的の道具を手の近くに持ってこない」
そう言い、クラウンはシェリーのジャケットの袖口を下へ向けさせると、無数の手榴弾がシェリーの袖口から流れ出た。 その数なんと、18個。
手品師かこの女は……。
半ば呆れた表情でクラウンは、
「シェリー、君が警戒しなくていいって言ったんでしょ? そういう君が警戒してどうすんの?」
ため息をつきながら椅子へと戻った。
それを童子は楽しそうに眺め、手榴弾の一つを拾い上げると手に持った。 当たり前のようにその爆発物のピンを引っこ抜く。
爆発する!
とっさに童子の一番近くに居たクラウンは頭を庇うように手でガードするが、一向にその手榴弾が爆発する気配がない。
……不発だ。
クラウンの思考が統一され、ガードを解いた直後だった。
手榴弾が大きな音を立てて童子の手の平の上で爆発する!
周囲が煙に覆われ、スプリンクラーが作動する。 少しして煙が消え、同時の姿が現れるが、何処にも外傷などまったく無く、手榴弾の残骸を手の平で転がしていた。
……爆発制御能力?
「俺には、時間を操る事と空間を歪める事意外に出来ないことはない。前置きが長くなったが、取り合えず俺の話を……聞いてくれないか? 何時も何度も苦しむのはもうすぐ終わらせられるかもしれない局面へと既に入っているのだから」