ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者” ( No.71 )
- 日時: 2010/11/18 22:02
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
「あのなあ、鳳。あんたが能力者じゃないっていうのが未だに信じられないんだが……、能力者レベルが分からないってことはやっぱり能力者じゃないよな?」
「当然よ、私はか弱いガン患者なんだから。ユーリ君が守ってくれないと死んじゃうかも〜」
不思議そうに鳳の方を向いているユーリに鳳は刀を向け、さらには振り回しながら冗談とも取れなくは無い冗談を吐く。 黒い包帯の覆面で表情は分からないが、絶対笑っている。
しかしその前に、刀を人に向けて振るなよ、
「危ないからそれ止めてくれ」
「あら? あんたがそんな事言うとは思わなかったわ。散々人を切っておいて」
「それとこれとは話が別だ——」
ユーリの言葉の途中、鳳は飛んできた無数の矢を刀で切り落とす……! その動きが音と少しづつズレて行く……?
その所為か、矢の狙う対象がユー利へと切り替わる。
だが、それもむなしく全て打ち落とされ、周囲に散乱した。
その隙を見逃さず鳳が刀を振るい、
「夢想……、天地一転!」
刀の峰撃ち一閃で、村人達の首を上下逆に捻る!
それを恐れてか、村人の攻撃がパッタリ止んだ。 だが、なんだか可笑しい。
攻撃をやめた村人は、家の中へ戻っただけだ。 何故今ここで、家へ……?
単純な攻撃で壊れるであろう、木造建築へ何故……?
だが、これはこれで好都合だ。
「ユーリ、今のうちに時計塔の基盤へ向って! ブラックメタル出で出来た基盤があるはずよ、貴方が取ってきて。私はここで様子を見る」
その言葉と共に鳳は刀を腰に納めると、覆面を取り、異様に長い髪を露にする。 周囲を警戒するように見回す紅い瞳は、恐ろしく冷たく、冷え切っていた。
真っ黒な手袋をはずし、赤黒い血管の浮き出た手を剥き出しにすると、力強く握り締める。
それと同時に、ユーリは塔の会談を駆け上っていた。
目指すは、一個だけ能力によって発生した物質で出来た歯車。
それとほぼ同時刻、会議室でクラウンたちと話をしている童子の携帯が鳴る。