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Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者”      ( No.78 )
日時: 2010/12/01 22:15
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

同時が電話に出ると、それは鳳からのものだった。
もちろん、ユーリの携帯は電池が切れているためユーリからは掛けられない。
今まで嬉々として仲間が出来たのに対してうれしそうな表情で説明をしていた童子だったが、その顔が一気に豹変する。
何か、深刻な事でも起こっているかのような表情に……!


「了解した、こちらからも応援を向わせる。それまで持ちこたえてくれ。 ……T−レックスの発動も、自身に負担の無い範囲であれば許可する。 頼んだ」


深刻な表情のまま、童子は電話を切ると、クラウンの方を向いた。

童子は、とても迷っている。 目を見ればなんとなくそんな事が分かるが、これはかなり考えている。

不意に、ある言葉が飛び出す。
そう、


「早速の任務だ。 北へ380km行ったところのティードと呼ばれる村で仲間が反能力者教団の猛攻に遭っている、直ちに急行し、ユーリ・ディライバル及び鳳 麻記那を保護しろ。出来る限り、村人は殺すな。以上だ、早速出発してくれ」

「早速ですか、多忙な所ですね」


クラウンの言葉に童子は苦笑いする。
早速の指令に軽く戸惑いながらも、レインに先導されクラウンはビルの最上階にスタンバイしていたヘリに乗り込んだ。
向かうは、北。





同時刻、ティード農村__

時計塔の螺旋階段を駆け上っているユーリの目の前をある物体が横切った。 それは、爆発物ではなく、弾丸でもない。
恐らくだが、生き物……!

螺旋階段のちょうど半分辺りに達した頃だろうか、それは起こった。
突如、ユーリの駆け上っている階段の上層部が、崩れ、降り注ぐ!
だが、それをことごとく避ける避ける、避けれないものは……、


「のわっ!デケェ瓦礫だな……どうするこうする迷ってても仕方ない。 こういうときは叩っ斬る!」

巨大な瓦礫が幾つもの破片へと姿を変える。
その最中、再び何かがユーリの目の前を恐ろしく疾く横切る。 

どうも怪しい、これが原因か……?

そんな考えと、単純に落ちて来る瓦礫を斬る剣の軌道が合致し、その“何か”を切り裂いた。

その“何か”には、感情と血の気の失せた青い顔、瞳、青白い体に胴体を斬られたのにも関わらず平然と這って来る異様な生命力。
そう、


「A-01か。……大した敵ではないが、何でここに居るんだ……?」