ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者” ( No.99 )
- 日時: 2010/12/01 22:16
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
ヘリが村を飛び立ち数十分。 夕焼けが反射して紅く光る綺麗な湖のはるか上空をヘリはポツリと飛んでいる。
機内では、ユーリのセクハラとそれを止めさせようとするレインの怒鳴り声が兎に角五月蝿かった。 もちろんの事、それに対して寝ていた童子がおきてブチ切れるというハプニングもあって、その騒ぎは終局を迎えたのだが、シェリーはユーリが来た時に備えて袖口に無数の手榴弾をスタンバイし、能力全開で完全に警戒していた。
そして、それがクラウンの首を絞める。
シェリーに近寄れば即蜂の巣にされるともちろんユーリは感づいたのだ。 何故こういったところだけは鋭いのやら?
レインはもう怒鳴る気力など無く、呆れて物も言えなかった。 シェリーにいたってはクラウンに照準が向いたのを良いことに、能力全開の状態を維持しつつ眠りについている。
ユーリがクラウンに抱き付こうとしたそのときだった。 レインが半ば呆れ顔でユーリに手をかざしてクラウンから引き離したのだ。
レベルⅢでも、場合によってはレベルⅤに勝つことがあるらしい。 いや、それはユーリとレインに限っての事だろうか。
「レイン、ありがと」
クラウンの呼び捨てに対し、レインはこの上なく丁寧な口調。
「いえ、気にしないでください」
クラウンがなれなれしいのか、レインが丁寧なのかはさておいて、
「後どれくらいで到着しますか?」
レインがポケットから携帯ゲーム機を取り出しながら運転手に聞く。 携帯ゲーム機の電源を入れ、いざ開始! といった所で運転手の手が電源を強制的に落とすと困ったような表情で、
「あのですね、電磁波が出るものは扱わないでくれません? このヘリのソナーが使えなくなります、性能が良すぎるが故に携帯ゲーム機一個が近くにあるだけで周囲の状況が分からなく……!」
言葉の途中で運転手はあわてたようにクラウンに手を伸ばし、腕を掴もうとする。 だが、クラウンは自ら動いていないにもかかわらず後ろへと引っ張られた。
誰だろう?
クラウンが後ろを向いた。
直後、視界にあの表情のうつろな濁った目玉が目に入る。
A-01だ! 何故ここ……に……?
気づいた時にはもうすでに遅かった。 A-01はクラウンの腕を掴むとそのままヘリからダイビング。
見事に真下の湖へと真っ逆さまだ。
だが、冷静に対処すれば怖いものではない。
「クレイクロア……の仕業ってとこだろうな。 何でA-01ばっかり使いだがるのか……」
空中で足を相手の胴体に巻きつけると、頭を抱え、捻る! するとゴキンッという音と共に、A-01の体は動かなくなった。 だが、まだ動く頭には注意が必要だ。 だが、頭に注意する必要は無かった。
そう、湖に頭から落ちたのだ。