ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Gray Wolf ( No.16 )
- 日時: 2010/11/08 17:40
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
- 参照: ( ´・ω・`)<いや、呼んでないつーか
第 1 1 話 転 校 生
ハイスクール中等部————
シエラはユーリに買って貰った腕輪を右手首につけ、それを見る度微笑んでいる。
余程嬉しいのだろう。 理由がユーリから貰った物だからか、単に嬉しいだけかは分からない。
「はいはーい、皆さん席着いてー。 ホームルーム始めますよー」
スライドのドアが床をする音を出すと同時に担任教師の声が聞こえる。
その声に反応し、咄嗟に姿勢を直す。
「…それではまず皆さんに報告です。 転校生がやってくることになりました」
クラス内が何かの糸を切ったように騒がしくなる。
男子か、女子か。
そんな声がクラス中を飛び交い、先生は変わらず笑顔で女子と答える。
その騒がしい中、先生の合図と同時に入ってきたのは正に可憐とも言うべき少女。
肩に掛かるぐらいの左側に分けた茶髪。
ピンク色の服を着て、レースが重なる白いスカートをはいていた。
その立ち姿には上品な雰囲気を漂わせている。
その可憐さには男子は当然釘付けだ。
本人は気づいてすらいないほど無関心なのだが、シエラはその容姿からかなりの人気がある。
今まで、最初一年生のとき、先輩に5回告白されたほどの者だが、当然断っている。
だが教卓の近くに立っているその少女。
彼女はそれに匹敵する程、絶大に男子が騒いでいる。
だが、シエラはそんな事など微塵も気にしていない。
それどころか、彼女さえもその少女に見惚れている。
「レフィ・リホルンと言います。 家庭の事情でこんなハンパな時期に来ましたが、早くこのクラスに慣れたいと思います」
雰囲気通りの上品な声。
20人以上いるこの空間で全員に見られても緊張などまったくしていない様子。
礼儀正しく会釈し、先生の指示で指定された席へ行く。
全員に注目を浴びさせられながらも全然動じてなどいない。
静かに席を着席し、ゆっくりと座る。
そして僅かな沈黙が流れ、直後にホームルームの続きを知らせる先生の声が響いた。
ユーリの家——————
幼い顔立ちの軍服を着たものががソファーに座る。
向かい側にあるソファーにユーリが座り、ケーキを食べている。
軍人の方はそれに少し呆れながらも口を開いた。
「‥‥‥そして、ロートスシティの見張りが何とか倒したそうだが、数匹残っていたそうだ」
「ふうん。 おかげで一匹ウチの姫さん襲ったけどな、レインさんよ」
レイン、と呼ばれた少年の軍人は軽く謝ってから話を続ける。
「それに関連して君に頼みたいことがあって来たんだ」
ケーキを食べていることに夢中で、顔を俯けていたユーリが顔を上げる。
その顔はあまりにも深刻そうで、唇が重いかのようにしている。
こりゃ結構めんどくさそうだなぁ————————
その動作を見て、ユーリは次に来る言葉を覚悟した。
そして開いた口からレインの声が発せられる。
転
校
生
終