ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Gray Wolf ( No.17 )
- 日時: 2011/01/22 09:53
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
- 参照: ( ´・ω・`)<いや、呼んでないつーか
第
フ ェ ル ト
1 2
シ テ ィ
話
ヴェルゲンズ中央区フェルトシティ———————————
ユーリはそこの軍用ホテルの一室で休む。
ベッドの上に横たわり、天井を見つめる。
—————————レインの話ではこうだった。
ここ最近キメラの襲撃がヴェルゲンズ、世界中で頻繁らしい。
それで、軍地位で大将に当たる軍の要人が仕切っている街の防衛を頼みたいそうだ。
街の名はフェルトシティ。
そこの近くの森はキメラ達が多数いるらしく、いつ襲ってもおかしくないと。
さらにはその街は例え大将が居ようとも、兵力が少ない。
そのため、レインや、ユーリが軍大総統から直々に防衛に行くよう命令されたのだ。
レインは弱冠18歳の身でありながら、陸軍大佐の地位におり、第14師団師団長を任命されている。
更にはヴェルゲンズ司令塔南方支部の支部長補佐まで任されているのだ。
つまりは期待の星。
大総統から直々に命令されても可笑しくないだろう。
兎にも角にも、ユーリはフェルトシティの防衛のための傭兵としてここに呼ばれた。
それはいい。 それはいいのだが———————————————
ユーリは暇つぶしに外に出ようと扉を開ける。
(もしも可愛い娘見つけたらナンパでもするか‥‥‥)
頭の中で実際のそのときの光景を浮かべる。
だが、その妄想は隣から聞こえるドアを開ける音によって消された。
桃色のポニーテールを揺らし、ドアから出るシエラの姿があった。
それを見て、ユーリは今更ながら連れてきた事を後悔する。
実は、こないだ持って行った本を返しに家に来たのだ。
しかし、運悪くもその時丁度フェルトシティでの作戦を話していた時で、聞いてしまったのである。
本人は中央区は良い服が多いからとか、色々言っていたが、恐らく今回の防衛作戦の野次だろう。
だが、確かにシエラは召喚術を使うことが出来るのは事実だ。
戦力にはなるだろう。
そういった事も考慮し、女性の意思は尊重しようだなんだとの口実でレインを説得したのだ。
が———————
「ねえ‥‥‥今からでも帰らない‥‥?」
ユーリが少し気弱な口調でシエラに言う。
だが、不服そうな顔を浮かべ、廊下を歩き去る。
「ううん。 もう来ちゃった事だし‥‥‥ショッピングに行くね…」
少し寂しそうに聞こえた言葉。
きっと何か役に立ちたいのだろう。
だから召喚術の本を借りたいといってきたのだ。
ユーリは仕方がないと頭に響かせ、歩き出した。
くるりと背中を向けた背中にユーリが後へ続く。
不思議そうにユーリを見てきたシエラに、彼はいつもの調子で笑顔になってみせる。
「都会の街に女の子一人歩いてると危ないよー。 一緒についてくよ」
強く彼女の手を引っ張る。
その大きな手は暖かく感じられ、彼女の顔に無意識に笑顔を作らせるほどだった。
廊下の奥の闇を照らすように二人は走り出した。
フ
ェ
ル
ト
シ
テ
ィ
終