ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Gray Wolf キャラ画像募集します。 ( No.44 )
- 日時: 2010/12/10 15:56
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
- 参照: Σ( `@А@´)<たかだか参照100突破で喜んでいる俺がいるよ・・・
第 2
3
協 力
話 要 請
無造作に伸ばした白髪の混じる黒い髪。
胸元のはだけた黒いシャツの上にきた三角の連なる模様で縁取られた黄色いジャケット。
橙色の長ズボン。
身長は最早180cmを超えていて、大男としか表現しようのない体格。
「お久ッス、ボス〜」
そんな机越しにある威厳を感じさせる姿を目の前にしても全く動じないレンはスタスタと彼の横へ行く。
そのレンを頭上から脳天に目掛け、鉄建を振りかざす。
まともにヒットし、部屋の隅をフラフラと歩いていくレンはそのまま地面へ倒れた。
「けっ。 てめえ一ヶ月も留守にしやがって。 ソンぐらい掛かったからには相当な逸材は連れてきたんだろうな」
「も、もちろんです〜。 俺でも、敵わない奴、連れてきました〜」
低い声が頭痛のような痛みを感じる頭に響く。
レンはあまりの痛さに途切れ途切れになりながら横倒れの状態で言った。
男は笑いながらユーリに視点を変え、ジロジロと見つめる。
ユーリにはそれがとても不愉快ではあったが、堪えて黙る。
「おいガキ。 もう少しこっちに来な。 そのツラ、もう少し拝んでおきてえ」
言われるがままにユーリは一歩一歩前へ出る。
そして————————
金属がぶつかり合う高い音が部屋中に響き渡る。
男は机の陰にあった大剣を取り、机の上に立って振り下ろしていた。
対するユーリは、腰に付けていた刀を取り、鞘から抜き放ちながらその一撃を受け止めていた。
シエラも、レンさえも口を開けっ放しにしてしまう。
未だ切っ先のその先にいる人物を見続ける少年の鋭い眼光を持つ瞳。
その目を見て、男は笑いながら剣にかけた力を抜き、机から軽く飛び降りた。
「レン。 お前良い輩を連れて来やがったじゃねえか。 今回は良い仕事をした、と褒めてやっても良いぜ」
大剣を机にまた掛け、ユーリを見た。
「おい、ガキ、小娘。 お前らの名前は」
ユーリは一拍の間を置き、口から無愛想な声を出した。
「ユーリ、ユーリ・ディライバル」
「シ、シエラ・ハーティアです‥‥‥」
シエラも声を震わせながら自分の名前を告げた。
「俺はダンカ・ドゥールだ。 それじゃあ、お前らは傭兵団(ウチ)に入るのは前提で話をしてやってもいいんだよな?」
机に戻り、イスに座って踏ん反り返る。
いつの間にか彼の横に居たレンがその事について話をしようとした。
が、それを言い切るよりも先にユーリが口を開いた。
「残念ながら俺はハナッから此処に入ろうと思ってきたわけじゃないぜ」
「何?」
その言葉を聞き、ダンカは表情を少し険しくする。
それに気づいたレンは少し否そうな顔をし、目線を壁へ逃がす。
「一応俺にも職ってもんがあんだよ。 そっちも此処と同じ肉体労働がたまにあんだが‥‥‥。 ま、こっちは正式な職だし、稼ぎはいいかもな」
「ホウ。 なら何故悩んでんだ? どうせ同じなら稼ぎが良い方にすればいい話だ」
徐々に顔の険しさが酷くなる。
気づいたシエラも段々恐ろしく感じてきた。
だがそれでも話すことをユーリはやめない。
「結論から言わせてもらうと止めさせてもらう。 個人的に思い入れがあるからなんだが俺には自分の街ってもんがある。 この街にはそれよりもいい所がねえ。 つまんねえんだよ。 だから止める」
言いたい事はすべて言い終わったのか、ユーリはそこで話を止める。
ここで溜めていた怒りが爆発すると思っていたが、意外にも潔く残念そうに顔を伏せ、考え込んだ。
「そうか‥‥‥。 なら————————」
そこでシエラの真後ろにあった扉からノック音が聞こえる。
そして、女性らしき高い声がドアの置くから聞こえてきた。
「失礼します。 ヴェルゲンズ国行政会より依頼が来ています。 よろしいでしょうか」
言おうとした矢先に途切れてしまったので不服には思ったが、仕方なく返事をした。
「ちっ。 お取り込み中だったんだが‥‥‥。 まあお偉いさんがいるとなっちゃ仕方がねえ。 入れ」
開いた扉の向こうには凛々しい雰囲気を漂わせる短髪の女性。
シエラを、そしてユーリを通り過ぎ、ダンカの前へ立ち止まる。
「反国家組織「リナータ」へと攻めてほしいとの事です。 軍では動かせる人員が少なく、傭兵団を雇用しないと手に負えないそうです」
「あー。 あの厄介な野郎どもか‥‥‥。 成程、分かった。 下がっていいぞ」
その時、不自然な笑みを見せた。
ユーリにはそれが何を意味するかが分かる。
「おい。 お前の職は何だ?」
「‥‥‥何でも屋。 引越しの手伝いや用心棒とか、色んな仕事が任される」
いやな予感がしつつも、ユーリは取り合えず答える。
そして彼の笑みは更に悪臭が漂った。
「そうか。 なら依頼だ。 お前ら二人今言った任務、レンと一緒に言ってくんねえか?」
————————やっぱな
いやな予感が的中しつつも、それを文句に出す事無く話す。
「おいおい。 二人って俺はともかくシエラまで行かせるつもりか? 人が悪いな、あんたも」
「ふん。 お前もそれは覚悟の上で此処に着たんだろう?」
まあな、とその言葉を最後に、シエラに振り向いた。
「んで? どうする?」
いきなり質問されたので、シエラは少し驚いた。
先ほどの緊張の空気で、急な出来事に敏感に反応したのか体が跳ねる様に一瞬震えた。
「確認だよ。 早速行く事になっちまったけど、行く?」
だが、ユーリの優しい言葉に、少しだけ気持ちが落ち着いた。
シエラは頷き、ユーリに笑顔を見せる。
「うん。 私は大丈夫。 いつでもいいよ」
「そっか。 それなら良いんだ。 じゃあ俺の後ろから離れるなよ?」
ユーリも笑顔で返したが、シエラは笑顔から疑問の表情へ変わった。
「着かず離れずで。 もしシエラが危険になったら俺が助けるから、シエラは俺がやばいときになったら助けてくれな」
歯を見せて、ユーリは満面の笑みで当然のようにシエラに言う。
それがシエラにとってはとても嬉しいことこの上ない。
自分のような弱い人物でも、背中を預けてくれることが嬉しい。
自分を認めてくれる事がとても嬉しかった。
「うん!」
シエラも満面の笑みでユーリに返した。
ユーリは微笑みながら、顔をダンカに向ける。
「おい。 話はまとまったか?」
ユーリはその低い声とは裏腹に、少し声を上げて言う。
余裕そうにズボンのポケットに手を突っ込み、足を肩幅ほどに開く。
「ああ。 いいぜ。 明日の朝、その「リナータ」とやらに行く」
協 力
要
請
終