ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Gray Wolf キャラ画像募集します。 ( No.47 )
日時: 2010/12/10 22:52
名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
参照: Σ( `@А@´)<何だって!? 参照200!!?(それがどうした


    第  2 
         4  話

                   タ ー ナ リ

リレイス山脈
ヴェルゲンズ国北西部にある山の連なり。
高山が連なっているため、自然の豊富なふもとより、草木が少ない。
その場所にユーリ、シエラ、レンは立っていた。

否、彼らだけではない。
少数だが軍人、それに他の傭兵団、ヴェルゲンズ担当の国際警察組織「ガーディアン」すらもいた。
ユーリはリナータという組織の名前は知らないが、この人数で相当な戦力を持っていることは理解できた。
作戦はそれぞれの集まったグループで此処に考えるという事らしい。
既に動いているところもある。 青を貴重とした制服、軍ではない、ガーディアンと呼ばれるものだろう。


「‥‥‥俺たちも早く行ったほうがいいんじゃねえか? このまんまだと手柄取られるぞ」
「まあ、そうなんだが、それなら少し近道した方がいいな」
「近道? お前ここに来たことがあるのか?」
レンがさり気無い口調で言った言葉に疑問を持つ。
そして、それをぶつけたユーリに嫌に微笑んだ。
「あんま舐めんなよ? 確かに此処にきたことはねえが、辺境の土地は慣れてんだよ。 なーに、この山なら大体の構造は勘でわかるさ」
「へえ。 じゃあその御自慢の勘ってやつで絶対につく自信はあるんだなあ」
皮肉っぽくユーリが笑い返した。
その指摘には流石に言い返し切れないのか、そのまま黙り込む。
だが、開き直ってその彼の言う近道へと足を踏み入れんとした。




巨大な黄色い腕に出来た黒い斑点の腕の一撃が降りる。
だが当たった地面には既に人の影もない。
そこにもといた人物は既に後ろに回り、死角から斬り下ろす。

二足歩行の豹の最後の一匹を斬り、ユーリは刀を肩に担ぐ。
「おい‥‥‥。 お前の近道とやらは随分危険じゃねえか。 どういうことだ?」
「待てって! 近道イコール安全って考え方かよ! 近道はリスクが大きくてなんぼだろ!!?」
同じく豹のキメラを倒し終わったレンはユーリの小言を指摘する。
その光景を見ていたシエラは他にもキメラが来ないかと辺りを見回す。
だが、幸いにも先ほど倒したのが最後らしく、この辺りにはキメラはいない。


リレイス山脈のような山脈の構造上、山に空洞に似た隙間が出来るらしい。
それを抜けると、崖と崖の隙間の底に行くことができる。
この谷は、色々な場所へ繋がっていることが多く、うまく行けばリナータの場所へ行くことができるそうだ。
そして、今いる場所はそのリナータの拠点の付近であった。
確かに近くへ行くことはできたが、獣道であった為にキメラが多い。
おかげで無駄に体力と覇気を消費したユーリは溜息をつきながらリナータ本拠地へと進む。



それからしばらくして、居た場所である広場の周りの谷から武装した集団が出てくる。
白い上着に身を包み、ライフルを構えている。
それを見て、ユーリは面倒臭そうに頭をかき、刀を構えた。
「ったく。 ホント冗談じゃねえっつの」

斬る体勢になり、突進した。
銃口から火花が出、銃弾が直進する。
それを次々かわし、弾く。
人間の力と動体視力でライフルの弾を防ぐユーリに驚きを隠せないリナータと思しき者が慌てて銃弾を打ち込んでいく。
だが、余裕そうにそれをかわし、ユーリはしゃがむように体勢を低くし、銃身を斬り離した。
それに驚く余地も与えず、蹴りを一人一人に叩き込んだ。
シエラの近くに居た一人が、ライフルから弾を出した。
回転しながらシエラの心臓に進んでいく。
しかし、突如彼女の周りから風が吹き荒れ、弾丸は二つに割れ、勢いを失って地面に滑り込んだ。
そして、彼女の前に現れた緑色の狐から突風が吹き、男を大きく吹き飛ばす。
あまりの強さに、戦意を喪失しつつあるリナータの連中が後ろに下がる。
その肩に、複数のクナイが差し込み、痛みによるショックで悶絶する。
近くには札を右手に持つレンの姿。
「残念。 此処で逃がすとめんどくさくなるから気絶だけでもさせてもらうわ」



扉などない、人が10人並んでも余裕では入れるその入り口の奥は広く、機械類が多く並んでいる。
「ふーん。 此処がリナータの拠点ねぇ。 思ったより普通だな」
ユーリがとぼけた口調で感想を述べる。
それにレンも同調した。
「そうだな。 もっとハイテクなもんがあると思ってたけど—————」

突如、後ろから気配を感じる。
その後ろには巨大なキメラ。
ゴリラに見える体格ながら、ライオンの顔つき、蛇のような尾。
何故ここにキメラがいるのかなど関係ない。
突然の襲撃に、今のところは逃げる選択肢しかないと判断したユーリは、二人に大声で伝える。
「逃げるぞっ!!!!」
固まっていた二人はその声で夢から覚めたように気を取り戻すと、全速力で逃げ出す。
ユーリの考えでは、更に広いところへ出て落ち着いてから臨戦しようと思っていた。
しかし————————



天井近くの足場から人影が見える。
ユーリはそれに気づいたが、しっかり見る間もなく前を見た。
そしてその影の正体は足場から飛び降り、床へ着地する。
右手に構えたナイフから炎を出し、キメラへとぶつける。
紅蓮の炎は後ろを振り向いた三人の視界を赤に染めた。
苦しみ悶え、皮膚を焦がしていくキメラ。
キメラとそれを焼く炎を背景に、その人物はユーリたちを見る。

茶色いショートヘアの可憐な少女。
ガーディアンの青い制服を着たその少女は彼らを驚かせたが、中でもシエラが最も驚いていた。



「レフィちゃん‥‥‥?」





            リ

         ナ  ー  タ



                       終