ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Gray Wolf キャラ画像募集します。 ( No.52 )
日時: 2011/01/09 16:06
名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
参照: Σ( `@А@´)<何だって!? 参照200!!?(それがどうした

   第        話
                勇  猛  な  少  女
     2    5


前髪を左から分けた柔らかい質の茶色いショートヘアー。
肩の部分だけ肌が露出した袖の青い服。 青く短いスカート。
V字型の刃に柄の埋め込まれた二丁のナイフを両手にそれぞれ持つ。
良く見れば、刃に魔方陣が埋め込まれている。 恐らくそれで炎を出したのだろう。
だが、幼い顔立ちの少女が巨大なキメラを倒したのは、驚嘆に値するものだ。


驚くレン。 静かに彼女を見据えるユーリ。
そして、何より驚くシエラ。
「レフィ‥‥‥ちゃん…?」
「ん? 知り合いなのか?」
思ったことがどうやら口に出てしまったらしい。
ユーリに訊かれ、半ば反射的に答える。
「え、えっと‥‥‥こないだウチのクラスに来た転校生の子だけど…」
それを聞き、ユーリはまた考え込みだした。

無理もない。 シエラと全く同じ年齢の者がガーディアンで不思議に思わない方がおかしい。
だが、ユーリはいち早く納得し、レフィの元へ早足で歩み寄った。
「ああ、ごめんな。 ちょっと驚いたけど、お前シエラの友だちなんだってな? そりゃ——————」
「黙ってください。 今此処は戦場です」
その言葉がユーリの足を制した。
ぼんやりと立ったまま、黙り込むユーリに、更に言葉を重ねる。
「何故貴方のような方が戦場にいるんですか? 戦場には必要ありません」
未だにユーリは黙り続けている。
それに呆れ果てたのか、溜息をついた。
「分かりませんか。 貴方のような浮ついた方は戦場から帰ってくれて構いません。 いえ、帰ってください」
少し厳しい口調。
此処まで言われれば、誰でも言葉を失い、何もいえないだろう。
だがユーリは違い、終に口を開いた。

「ちょっと待てよ。 確かに戦う場所なんて選ぶもんじゃなかったな。 けどその浮ついた考えでも、生き残ることはできたんだぜ」
その開き直りに少し呆れを感じながらも、変わらず言葉を返す。
「生き残ったか否かの話ではありません。 周りに障害が出るといっているんです」
「分からねえのか? 感情を無くしてると開けない活路ってのがあるんだよ」
ユーリの口調も厳しさが増してくる。
いつもは女性に対して優しいユーリだが、真面目なときはしっかり自分の意見を本気で伝えてくる。
女性ばかりに優しいといえば、それは半分以上嘘になる。



「分かりました。 そこまで言うのであれば、このガーディアン第28警護班、レフィ・リホルンが同行の上、進むことを許可します」
少しついた溜息の後に言った言葉だった。
それを聞くと、ユーリは微笑みながらレフィに歩み寄る。
「それなら良かった。 俺もお前みたいな可愛い子なら歓迎するよ」
右手を差し出し、握手の合図を出した。
少しだけ彼女の顔が赤くなったが、すぐに平静に戻り、軽く手を取る。
そしてすぐに奥の廊下へと歩き出し、ズカズカと前へ進む。


だが、レンの言葉がレフィを止めるどころか、表情を険しくさせる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。 お前の名前‥‥‥まさかレイス・リホルンの親族か?」
「レイス・リホルン? 誰だそいつ」
ユーリが素っ頓狂な声で訊いてきた。
レンは意外そうな顔でレフィに向いた顔をユーリに振り向かせる。
「知らねえのか? 第3戦闘班の班長で、ガーディアンの主戦力足りえる男だ。 結構有名なんだがなあ」
レンの説明で一応理解したが、微妙にわけの分からない部分があるのか、ユーリは適当な返事をする。
全員がレフィを見、彼女は口を開く。
「ええ、そうですよ。 確かに私は彼の妹です」
「成程な‥‥‥。 それでそんなお堅いわけな」
その言葉がレフィの顔を更に険しくさせた。


だがそこでユーリが割って入ってきた。
「おい待てって。 この娘がどういう奴の妹だろうが従兄妹だろうが知らないけど、あんまそれだけで固い奴って判断するってのはどうなんだよ」
言葉でレフィを庇い、レンをたしなめる。
彼も流石にひどかったと思ったのか、頭を下げて謝った。

ユーリはレフィに振り向き、微笑む。
庇ってくれた姿に見惚れたのか、レフィは思わず赤面する。



「そんじゃまあ、行こうぜ」



    勇  猛  な

                 終
     少   女