ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Gray Wolf キャラ画像募集します。 ( No.66 )
日時: 2010/12/22 16:23
名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
参照: Σ( `@А@´)<何だって!? 参照200!!?(それがどうした



高台の上から龍は飛び上がり、ジェット機の比ではないスピードでユーリへ突っ込む。
ユーリは足場にしていた岩壁から跳躍し、宙へ浮き上がる。


それと同時に、龍は巨腕を叩きつけ、ユーリの居た岩壁をを粉々に砕いた。


  第  2  7  話


             化   け   物

               人   間

上空に舞う砂煙の中からユーリが落ちてきた。
突起した岩壁は多数あったので、先ほど居た所の真下にあった場所にまた着地する。
だが、その真上に突き刺さった龍の腕が下がってくる。
岩を削り、脅威の爪が振り下ろされる。
その瞬間に突起を飛び移り、崖を降りるために人工的に作られたと思われる坂道へ逃げ込んだ。
その後、ユーリの後方20mから爆発があったのは言うまでもない。

右へ左へジグザグになっている坂を律儀に下りる暇もなく、そのまま下の坂へ一気に飛び降りた。
地面への着地の瞬間、足に僅かな痺れを感じたが、頭上から近づく大きな存在を感じ、その場から全速力で離れる。


拳や足だけで対等に戦い合える状況ではない事を理解していたユーリは大太刀を鞘から抜き出す。
鋭利な刃は太陽の光を反射させ、抜く際に小さく高い音が響いた。
白い柄を握り締め、正面に龍の姿が見えるように向きを変える。
互いに殺気を放ち合い、小さく近づきながら—————————————





森の奥を走るレン達には遥か遠くから砂煙が舞い上がるのが見えた。
所々から多くの鳥が飛び上がり、ガーディアンと行動するレン達もその光景を注目する。
「おわっ!? 何だ今の爆発!!?」
「もしかして、さっきの化け物でしょうか‥‥‥」
推測するように顎の下に手をつけるレフィ。
その言葉に第28警護班の班長を務めるマラ・ロイスが特徴的な金髪のロングヘアーを揺らし、声を上げる。
「そうだった!! あの変な化け物何!!!? 龍みたいな姿して!!!」
マラの半ば逆上した言い方に、答えるのを躊躇ったが、今までのことを話した。



「そんな‥‥‥」
マラだけではない。 他のガーディアンも皆動揺している。
言葉を失いそうになるが、彼女は状況を冷静に判断し、口を開いた。
「…確かに、戦闘知能に長けたものを足し合わせれば魔術を使うことも可能でしょうね‥‥‥」
「はい。 リナータはあのキメラを大量に生み出し、ヴェルゲンズへ攻め込むそうです。 しかし、同時に獲物を狩る本能も強すぎた所為か、操り主の指示さえ聞かないのです」
話しながら、白衣の老人が無残に圧死された事を思い出す。
だが、気分がよくなることでは決してなく、すぐに頭の中から消した。


爆発が起きたであろう場所にはようやく近づく。
だが、その時後ろから寒気を感じさせるほどの気配も近づくのが分かった。
振り返れば、10、20、それ以上は数えられないほどのキメラがこちらに接近してくる。
種類は個々によって違うが、それでも脅威になる動物が合わさっているのが分かる。
ようやく此処まできたのに、足止めされてはユーリが危ない。
「レフィ! それから貴方達!!! 先に行きなさい! ここは私たちでやっておくわ!!!」
マラは振り向き、稲妻の絵が中心に描かれた魔方陣の刻み込まれた手袋をつけ、そこから綺麗に角度をつけて曲がる閃光を発した。
その閃光は次々とキメラを貫き、体中に電気を走らせる。
他のガーディアンも次々銃を取り出し、加勢していく。
こちらも加勢すればいいのか、黙って行ったほうがいいのか。
その二つに迷うレンとシエラを掴んで、レフィは向かったほうへまた進み始めた。




森を抜けるとそこには崖。
いきなり出てきて止まれないためにレンは落ちそうになったが、レフィの助けで心配はなくなった。

が、もう一つの問題はその向こう。
例の龍が大きな腕を振り回し、それを寸前で避け、防いでいるのはユーリ。
状況的に、どう見ても苦戦しているとしか思えない。
レンがユーリの名を叫び、その声はユーリの耳に届く。
「ん‥‥‥お前らっ! 来たんだったら早く手伝ってくれ!! こんな野郎俺一人じゃ骨が折れるどころの騒ぎじゃ‥‥‥ねえっとぉ!!!」
レン達の方を向く間に、龍による爪の一撃が落ちる。
それをかわし、落ち着いたところで炎牙斬を放つ。
しかし、抜刀状態の炎牙斬ですら容易に手の平で防ぎ、その手の平でユーリを襲う。

言われるまでもなく助けたいのだが、降りるための坂は崩れており、降りることが出来ない。
リスク無しに慎重に降りる間にユーリが殺されるかもしれない。
この状況をどう対処するかを考えていたレンとレフィに、今度はシエラが二人の前に出た。
傍らには幻獣のコンク。
レンとレフィの手を掴み、シエラはその小さな体を掴む。
そして凄まじい強風を発生させ、3人を掴んだまま空中を飛んだ。
ユーリと龍の交戦しているところの近くまでスピードを上げながら突き進んでいく。
シエラは耐えていたが、レンは悲鳴を上げ、レフィは最早言葉ですらない。

そして地面へ激突する寸前で高速の風は消え、ゆっくりと3人を下ろす。
コンクは虚空へ去り、少し落ち着いたところでレフィが立ち上がる。
「ち、ちちちょっと!!! やるならやるって言いなさいよ!!!!」
だが堅苦しい口調の変化に違和感を覚えた二人は叱り言葉をよそにレフィを見る。
それに気づいたレフィは慌てて平静を取り戻し、一つ咳払いをする。
その光景にを見、龍が左腕を振りかぶり、照準を定めていた。
3人のうち、シエラとレフィだけがすぐに気づき、その場から背を向けて逃げる。
直後に気づいたレンは慌てながら剣を取り出し、後ろへ大きく飛んで避けた。
しかし振り下ろした一発目の次に隙なく二発目を繰り出す。
下から上に振り上げた腕はレンの体を捉え、軽く吹き飛ばす。
地上から大きく離れ身動きの取れない状態で空中を浮遊するレンに狙いを定め、右腕を引く。
地上では重力と摩擦力を使って受け止められるが、空中ではそれは出来ない。
動きもとれず、構えを直す事も出来ず、重力に逆らえずに落ちていく。
このままでは着地する間もなく龍の一撃によって息の根を止められるであろう。

そして、対策を練る間に龍のキメラはその右腕に全神経を集中させて突き出した。





     化   け   物

                    人   間


                終