ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Gray Wolf キャラ画像募集します。 ( No.71 )
- 日時: 2011/01/09 16:08
- 名前: yuri ◆F3yWwB7rk6 (ID: DOGZrvXb)
- 参照: Σ( `@А@´)<何だって!? 参照200!!?(それがどうした
「へへっ。 それじゃ頼むぜ」
ユーリは歩きながら後ろを向き、シエラに言う。
声と共に頷き、シエラは召喚術の本を開く。
それを見ながらユーリは走り出し、速力を段々上げていく。
それと同時にシエラはコンクを召喚し、ユーリを追わせるよう指示した。
命令通りコンクは走るユーリを追い、更に彼を掴んで上空へ飛んだ。
激しい風圧がユーリの肉を軋ませ、目を開けるのも困難だったが、我慢して耐える。
コンクの力を借りて龍のキメラを追う算段通り、背後から近づくことは出来た。
しかし、それに気が付いたキメラは炎の蓄積を止め、ユーリ達から逃げ始める。
追いかけるスピードは圧倒的にこちらが有利だ。
だが、小賢しくもスピードを維持したまま小回りし、追いつくのは困難である。
その中で、終に追いつき、ユーリも思わず微笑を浮かべてしまう。
だが、心臓のある背中の中心部分に辿り着きそうな時に、シエラが呻き始め、同時にコンクも風となって消え去った。
今、ユーリに飛べる方法はない。
今まであった勢いは徐々に衰え始め、体がどんどん離れていこうとする。
しかしユーリの根強い願いが通じたのか、掴もうとする手に尾の先端部分が触れた。
それを逃さず捉え、ユーリは縄のように扱って胴の部分へ急いだ。
四つん這いだった体はやがて二足へと変わり、構えた刀は体の中央へ近づく。
その切っ先で背中を貫き、抜き、斬り払う。
3度続いたその斬撃の後にユーリは跳躍し、それと同時に下に向かって炎牙斬を放つ。
咆哮、否悲鳴を上げながら堕ち、ユーリはその体にしっかりと掴まった。
堕ちる巨大な体。 地面に激突するその寸前でユーリはその体から離れ、地面への衝撃を和らげる。
鞘にしまった刀を肩に担ぎ、血に塗れた龍を見た後、後ろを振り返って歩き出した。
その先にいるのはレン、シエラ、レフィ。
ユーリは息を荒くして地面に座り込むシエラの頭をまた優しく撫でる。
だが、本人はユーリの身を案じ、謝罪する。
「ごめんね‥‥‥私が頑張ってれば大丈夫だったのに…」
「気にすんなって。 何にせよお前がやんなきゃ結局やられてたんだ。 成功したんだから謝んなって」
「そうそう。 お前のお陰で命拾いしたんだぜ! ‥‥‥まあ、俺は何もやってねえけど」
彼らのやり取りを見ながら、レフィはフッと笑う。
「貴方達の実力は十分にわかりました。 特にユーリさん。 貴方の咄嗟の機転や判断力、それを実現させる身体能力がなければ私達の被害はこれくらいではなかったでしょう。 失礼を言ったお詫びと、感謝を申し上げます」
珍しく腰を低くしていったレフィには驚いたが、ユーリは微笑む。
「別に。 でもそれが俺らの実力を認めたって言うんだったら嬉しいぜ。 っつーか‥‥‥何かあいつに似てるんだよなあ‥‥‥」
「? 誰ですか?」
いや別に、と目線を逸らしながらユーリは頭の中でその正体を描いた。
レインの、顔を。
ユーリは歩き出し、レンもシエラもそれに続いて立ち上がる。
その彼らの後姿を見ながら、レフィはまた微笑み、振り返った。
その微笑みにはもう、皮肉に嘲笑うような冷笑ではなく心の底から湧き上がったものだった。
「ふふっ‥‥‥それでは帰ってマラ班長の手伝いを————————」
耳を劈かせる程の轟きを上げる叫び声。
振り返るユーリ、レン、シエラ。
そして、レフィ。
その先には巨大な牙が連なる巨大な口。
気づいたときにはもう目の前であり、逃げられない。
「え」
一 つ の 策
終