PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 蜃気楼ラビリンス ( No.5 )
- 日時: 2010/11/05 21:01
- 名前: 黎龍 ◆RMw3.cMGUE (ID: dBCG1FA1)
- 参照: http://plaza.rakuten.co.jp/k2naduki0623/diary/201010300000/
[]0:01
「…寒い」
風を直に受け、何も無い地平線を眺めているのは一人の男。
海の上にある建物の瓦礫の上で、風を浴びながら二文字の言葉を小さい声で呟く。
こうなってしまったのは、いつだろうか。
この海一面の景色を見る様になったのは最近の事。
急激な世界の経済発展により、人類は海底都市を作る事を決定した。
そして、ドリルで海底へと道を進めたのだ。
人類のために 進歩のために。
だが、それが間違いだった。
海底にドリルを突き刺し、海底火山が噴火 そして地震が発生し、地盤沈下 そして、ドリルのオイルで、海の底を刺激し、海面上昇 …そして今に至る。
人類の進歩が、人類の悲劇を起こした。
そして政府の人間達は何も言わず全員失踪するという末路。
人類の発展を目指した人間は、何も言わず無責任な形で後を去った。
残されたのは、崩れ落ちた水に浸る都市。
そんな事が頭に過ぎる もう昔の事なのに。
そんな時、誰かが俺を呼ぶ声がする いや聞こえる。
冷たい風が俺の体を透き通り、後ろへとすきぬける。
声に振り向かず、ただ前を向いている俺。
二度目の声 もう待たせるのはやめよう。
振り向いた瞬間、目の前にはポニーテールの女性が一人佇んでいる。
「伊藤。」
PR