ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Are You OK? ( No.1 )
- 日時: 2010/12/16 23:18
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
プロローグ
夜の街に、1つの影。その影はクルクルと廻り、踊る。月明かりに照らされながら、断末魔と一緒に、廻り続ける。
「くっ…くはははは!!!あぁー、残念だなぁ残念だなぁ!やっぱりニンゲンは脆いよ、脆すぎる!こんな奴らさぁ、こんなもの使わなくても、『言力』だけで殺せたんじゃないのかなぁ!ねぇ、ねぇキミもそうは思わないかい、フレイブル?!」
と、今まで高らかな笑いを繰り広げていた少年が相方と思われる少女に疑問を投げつける。一方の少女は落ち着いた———否、怒りを帯びた声で、
「はぁ…。こんなんだからガキのお守りは疲れるのよ!
っていうか、あんたねー『仕事』と関係の無い奴まで殺して、何やってんのよ?!
あぁもう、コレだからガキは…。ほら早く帰るわよ?」
説教混じりに少年———ハニー・ミッシアムに命令する。
「はは、ガキガキってさぁ、ボク達同い年なんだけどなぁ?
てかさ、ボクの面倒見たくないなら妖精界にいればいいじゃん。ヒミミャだっているんだし。無理について来られると、ボクだって嫌な気分になるんだけど?」
そうハニーは冷たく言い放つと———
「おいヒミミャ」
先程の少年の言葉にも出てきた人物の名を呼ぶ。すると今までは何も入っていなかった筈のダンボール箱の中から、20歳前後の若い青年が立っているではないか。
「あぁ、もう『仕事』が終了したんですか、やはりハニー様の仕事っぷりは早いですね」
真っ黒の執事服を着、左目を隠しているのかいないのか知らないが、長い前髪。後ろ髪も肩に届くか届かないかくらいの位置。そして、目は血を吸ったかのような赤。そんな背格好からはあまり想像できない口調で、なおかつ爽やかな笑顔は、夜桜のように美しく、恐ろしい。
「ていうか、キミはそこで何してたの?」
あまり興味なさそうにハニーがヒミミャに訊く。
「ん?あぁ、ハニー様が殺していった人間の一人を解剖していたんですよ。全くハニー様は、タイミングが良すぎます。丁度今から彼の頭をかち割ろうとしていたところなんですよ。
———まぁ、良いです、こいつは持ち帰って調べましょう。全く、人間とは興味を惹かれて困ってしまいますよね」
と、ヒミミャが苦笑いするのと、地面に真っ黒い穴が空くのは、ほぼ同時だった。
「さぁお2人とも、妖精界に戻りますよ。
……Are you ok?」
「「Yes!」」
———人間界とは、なんて素敵なんだろう。素敵すぎて、壊してしまいそうだ!!
byハニー