ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Are You OK?〜更新再開です!!〜 ( No.85 )
日時: 2011/01/23 11:54
名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 「りょくし」です。元「ポアロン」と申します故。

                       第9話『君の悲鳴で目覚めよう』




「く……はははっ、あはははははは!! 結局妖精なんて所詮弱っちいものだよねぇ!!」

狂ったかのように声を上げて笑い出す藍。 彼の横には頭から血を流すハニーの姿があった。
彼はハニーの横に座り、その金髪の髪の毛を撫でた。
「まぁこんなの序の口だよ〜? そろそろさ、妖 精 に な り す ま し た 人 間 が 来 る 筈なんだけど〜」
藍が撫でた所為で血が付着したハニーの髪の毛が、風にふわりと揺られた。

「----------------------------------藍ッ…キミ…は…っ…--------------」
藍を睨み付けるハニーだが、藍はそれに動じない。

「…俺の兄さんはね、妖精に殺された。 もう10年も前の話なんだけどね」
茶色い瞳で遠くを見ながらぽつぽつと誰にでもなく、話始める藍。 ハニーはそれを黙って聞く。




                           ☆★




「へぇー、此処が妖精界…。 あ、ダークネス・デッドパーソンタウンていうんだ」
じゃり、と砂を踏む音と共に、地図を持った1人の見た目10歳くらいの少年は呟いた。周りを見渡し、「暗い街だなぁ」と。

「にしても、凄い臭いがするところだな。 こんなとこに住める奴の気が知れないぜ」

少年の名は、石谷 章。 石谷研究所から降された命———妖精界を調べに来たのだった。

しかし今の妖精界は黒ノ戦争の真っ只中であることを、彼も、彼に命を下した父親も、知りはしなかった。

突然現れる、銃を持った男にぶつかられ、尻もちを付く章。

「…………一体此処で、この街で何が起こってるんだ--------------------…………?」
立ち上がり、少し前に進む。

何100メートルか歩いたところで、ふと彼の足が止まる。 否、強制的に止 め ら れ たと言ったほうが正しいだろう。
見渡す限り赤い血の海で、黒い羽の妖精が黒い羽の妖精を殺しているのが見えた。

———何だこれは。

その一言も声には出ず、章はそのまま、へたりと地面に座り、耳を塞いだ。
叫び声が自分の耳に入らぬようにと。

そのままがたがた震えてから、数分が経ったことだろう。
彼は恐る恐る、目を開く。

———!?

彼を取り囲む、無数の黒い眼差し。

———嗚呼、死ぬのかな。
———殺されるのかな?

どちらにせよ、逃げ場は無い。

彼はそのままその場で、瞳を閉じた。















やっぱり妖精って、羽が生えてるだけで後は人間と変わらないんだろうな。
by章