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1-02「奈落の手前」

「とりあえず、自己紹介でも……」
少し困ったような顔で沈黙を破ったのはロウザ。

「私、風月 春。女の子だよ」
優しい笑みで自己紹介を終えた。
「うちは奈央。雪上 奈央。宜しく!」
元気そうな少女。
「俺は夜星。夜星 暁」
冷たそうな印象を受ける。だが、どこかに優しさが潜んでいるようでもあった。
「憂伊 彩佳」
その瞳には、迷いの色も見えなかった。恐らく、どんな決意もできているのだろう。
「紅 舞華。甘いものが好き」
と、クリームをたっぷり挟んだクッキーを食べながら言う。

「真田 幸直でござる! 父上は真田 幸村で武田 信玄殿に……!!」
「私は桜姫です。宜しくお願いします」
幸直様の大好きなお父上の話は長いから、失礼だけど遮らせてもらいました。
「クロウだ」
男にしては美しすぎる黒髪がなんかイラッとさせる。
「ロウザです」
洒落っ気がまったくないが、磨けば光りそうな隠れ美人。
「あっ、えっと、大神 圭介です」
自己紹介程度でもごもご口ごもっている。
「あたしは桜井 美南」
プライドが高そうで自信家のよう。

「あっ、手紙……」

“自己紹介も終えたようで。では、そろそろ本番へ。
　あと、余計な情を抱かない方がよいでしょう。
　どうせ殺し合うのですから”