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02「恋の花は芽生える」

「あれ、どうかしたの?」
「いえ、別に……」
図書室で困っているような男の子を見つけた。
ここでほっとけないのがあたし。
「何か困ってるなら言って? あたし、わりと図書室くるから……」
「……数学の、参考書を……」
これ以上断っても無駄と悟ったのか、悩みを告白する。
「参考書ね、わかった。何年生?」
「2年です」
「あ、年下だったんだ! 君、かっこいいね? モテるでしょ?」
背が高いから年上かと思ってた……。
「いえ……」
「ふぅん? はい、あったよ」
「有難うございます」
手渡された参考書をパラパラめくる。

「あっ! やばっ、塾の時間!!」
「えっ……」
時間がぎりぎりだったのに、自分の事に付き合ってくれたこの人の優しさを知る。
「ごめん、あたし行くね! あたし、小山 凛子!!」
「あっ……。夜月 久遠」
突然名前を告げられ、自分も咄嗟に名前を告げてしまう。

「夜月君、かぁ……」
かっこよかったなぁ、と思いつつ、ダッシュで塾へ向かう。

その場を見ているのが“恋を叶えてくれる魔女”
「さぁ、新しい恋の花が芽を出したぞ……」
「シャルはそれをどんな風に、摘むのかな?」