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04「うわさ話」

クラスの女子の仲良しグループが、こんな話をしていた。

「“恋を叶えてくれる魔女”って知ってる?」
「あー、聞いたことある」
「午前0時に、大鏡の前で跪いて指を組んで
　“シャルリア様、どうか姿を現して下さい”って言えば、出てきてくれるらしいよ」
「えー? でもさ、恋する乙女の前にしか現れないんでしょー?」
「そっ! だからね、やってみよっかなーと思うの。あたし、今気になる人いてさー」

「……」
思わず立ち止まって聞いてしまった。
……もしかしたら、夜月君と……。

「小山先輩」
その時、思っていた当人の夜月君が現れてビクッとなる。
「なっ、何?」
突然の訪問に驚きながら、平静を装う。
「この間……。髪留め落としましたよ」
「あっ、ないと思ってたの!!」
ピンク色のシンプルなヘアピンは、妹が誕生日プレゼントにくれたものだった。
「これを見ている時の小山先輩は悲しそうな顔をしている……」
「えっ……?」
見てたの……? 妹のことを思い出して、泣きそうなあたしを……?
「じゃあ、行きますね」
泣きそうな顔の小山先輩を放っておくのも気がひけたが、授業が始まってしまう。
「あっ、バイバイ」
夜月君は行ってしまった。

「なになに、凛子彼氏ー?」
「ちっ、違うよ!」
出来れば夜月君の彼女になりたいなぁ、と思うけど。