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05「この気持ち」

「凛子先輩! 最近彼氏できたって本当ですか!?」
声を荒げて走ってきたのは琉美。
「琉美!? 何言ってんの、違うよ!?」
「えー、夜月君って違うんですかー? あたしのクラスでも有名になってますよ、2人が付き合ってるって」
「ウソウソ!」
顔の前で手を振る。顔は真っ赤だと思う。
「なぁんだ、先輩にも春がきたのかなーって期待してたのに」
「琉美を置いて春になったりしないよ」
「先輩やさしーっ!」
“じゃあ、失礼まーす”と言って走って帰って行った。

「小山先輩」
「うわぁっ!!」
急に夜月君から声を掛けられて、身体が大きく跳ねる。
「きっ、聞いてた!?」
「……はい」

「あの、俺……。先輩の事好きかもっす。断定はできないけど……。
　そのつもりで付き合って下さい」
人通りの少ない時間でよかった、と思う。
「えっ、あっ……」
少し顔を赤くした夜月君は行ってしまった。

「……」
夜月君に告白されちゃった。でも“断定できない”って……。何かあったのかな?

あたしは放課後、図書室にいた。会える保証はないけど。

「夜月君!」
「……先輩」
「あのさ、もしかして何かあったの……?
　あたし、何でも聞くから……」

“言って?”

そう言われた時、全てを話すことを決心した。