ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜学園能力戦争〜 ( No.10 )
- 日時: 2010/11/12 19:12
- 名前: メルー (ID: klLmhm9D)
【2話 追加試験】
「さぁ、どっから来ても良いよ。」
久住が151番に言う。
が、久住は一向に構えようとしない。
「……」
反対に151番は二本の刀を構えるが、攻めない。
考えているのだ。
久住の能力が何であるのかを。
もし 相性の悪い能力だった場合 こっちの身が危ないからな。
しかし
「くだらねぇ……」
151番はそう呟いて、姿勢を低くする。
そして、驚く速さで久住との距離を詰めた。
— 考えるなんて俺の性格には合わない。俺は今まで通り 攻めるだけだ。 —
それが 151番の辿り着いた結論だ。
無謀かもしれない。
けど 彼の性格にはピッタリだった。
151番は走りながら右手の黒刀を後ろに思い切り引いて 突きを出した。
当然 久住は避ける。
そして 避けたところを左手の白刀で切る気だった。
だが
久住は動かない。
黒刀が簡単に久住の腹を貫く。
「!」
151番は目を大きく見張るが、アル事に気付いて顔をしかめる。
そして すぐに久住の腹を貫いた黒刀を手放し、振り向き様に白刀を横に薙ぎ払った。
「ほぅ。気付きましたか…」
そこには 先程151番が腹を貫いたはずの久住がいたのだ。
もちろん 腹に穴は無い。
151番はチラッと後ろを見る。
そこには久住の屍が転がっているはずだが、実際にあったのはマネキンの様な木の人形だった。
マネキンの腹には黒刀が深々と突き刺さっている。
「人形か……。」
151番が言うと、久住は笑顔で言う。
「えぇ。君はずっと私の操る人形と会話し、対峙し…闘っていたのですよ。本体の私が君の後ろにいたのにも関わらず。」
「……」
「どうやら 私は君の力を高く見過ぎていたようだね。私の正体も見破れないなんて『S』クラスに」
喋る久住に異変が起きる。
—— ピシッ ——
そんな 小さな音と共に久住の頬に切り傷が出来て、血が流れる。
今度は久住が目を見張り、気付く。
「…まさか……あの薙ぎ払いの時に…」
151番が言う。
「約束だ。俺は『S』クラスに入れてもらうぞ。」
気付けば左手にあった白刀も、人形に刺さっていた黒刀も消えている。
そして 151番は教室から出て行こうとする。
「……掠り傷を狙っていたのですか?」
その背中に久住の声が届く。
151番は歩みを止めるが、振り向く事無く答える。
「狙ってはいない。だけど……本気を出した訳でもない。」
そう言って151番は教室から出て行った。
残された久住は スーツのポケットから丁寧に折り畳まれた一枚の紙を出し、広げる。
それは151番の評価用紙。
名前の欄には『無想 一樹』と書かれている。
久住は自分の頬を流れる細い血の川を指で拭うと、
その血で
『評価』と書かれた欄に
大きく
『S』と書いた。
「…オモシロイですね。今年はまた一段と…激しくなりますよ。」
久住はそう呟いて、大きく笑った。
その笑い声は開いたままの教室のドアから校舎全体に響いた。