ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜学園能力戦争〜 ( No.5 )
日時: 2010/11/10 17:46
名前: メルー (ID: fxv10OAR)

【1話 入学試験】

島の中央にある高校。

名前は 明影学園 (メイエイガクエン)。

今日この明影学園では入学テストが行われている。


体育館の中には150人程度の能力者の卵が自分の番を今か今かと待っている。


試験は前日に与えられた番号順に教室に移動して行われる。

教室には学園の先生、つまりこの場合は試験官が待機していて、やって来た受験生の能力を実際に見せてもらう。
そして 幾つか小さなテストを行い評価する。

入学テストが終わった後にその評価を元に先生全員で議論を重ねた上 クラスを決定する。


だから テスト自体は10分ほどとかなり短い。


それでも一番最後にテストを受ける生徒は長い間待たされてしまう。

けど その待っている間ずっと自分の能力の復習が出来る為 毎年 受験生の大半は最後の方が嬉しかったりする。


    —— が 今年の一人は違った ——



「おい!番号151番!」

体育館に先生の声が響く。

そして 151番と呼ばれた最後の受験生が眠りから覚める。

黒い髪に、透き通る様な黒い瞳。
顔立ちも整い、かなりカッコイイ。

だが、どこか普通の人とは違う雰囲気がある。


体育館にはそんな彼しかいなかった。

他の受験生は受験を終えて既に全員帰った。


「何度も言わせるな!お前の番だ 151番!」


彼は立ち上がると面倒そうに歩き出す。


「教室は突き当たりを左だ。」


そう言う先生を見向きもせずに彼は歩き続ける。


突き当たりを左……あった。


教室のドアに大きく『受験教室』と書かれた紙が張ってある。


彼はそんなドアをノックする事無く また 躊躇無く開けた。


「おや?」


教室の中には一人の男の先生がいた。

歳は二十代後半ぐらい。
背は高くスラッとしいて眼鏡を掛けている。
髪と瞳は151番と同じ黒色。


しかし 瞳は透き通っては無かった。


おそらく 彼が試験官。


「君が…最後の受験生だね。よろしく。私は久住だよ。」

「お願いします。」


151番は興味無さそうだが挨拶だけはしておいた。


「それじゃぁ、早速 君の能力を見せて貰えるかな?」

久住がそう言うと、151番は無言で両手を突き出し 目を閉じる。


すると


小さな光と共にその両手に二本の刀が現れる。

久住が目を見張り、小さく呟く。

「模倣か……」


だが 151番は鼻で笑う。
そして 言う。

「違うな 先生。これは模倣じゃなくて 創造だ。」

「創造?…つまりは君のオリジナルかい?」

「そういう事。こっちの刃が黒いのが黒刀 白いのが白刀。俺が考えた物だ。」

「素晴らしい……こんな珍しい能力を見たのは久し振りだよ。」

「試験はもう終わりか?」

151番は尋ねる。

「もう十分だよ。……だけど…追加試験を受けてみる気は無いかい?」

「追加試験?」

「これから私と模擬戦をするんだよ。それで もし私にかすり傷一つでもつけたら君を絶対に『S』クラスに入れよう。どうだい?」

「……そんな事出来るのか?」

「こう見えても私はけっこう偉いんだよ。どうする?
やるもやらないも君の自由だよ。」

「……オモシロイ。その追加試験受けてやる。」

「……君も十分オモシロイよ。」


久住と151番がお互いに笑う。

だが どちらも目は笑っていなかった。