ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 罰神様 ( No.4 )
日時: 2010/11/12 23:52
名前: 紅 ◆wO/bFhCZjE (ID: rCT1hmto)

竜也が笑った。
遥は返事の代わりに頭を下げた。
幼い遥には状況を理解することは出来なかった。
唯一理解出来るのは、図々しくソファに座るこの男が母の愛人であるということ。
「ぼ、僕は?僕はどうしたらいいの?」
意味が解らない、そして意味もない質問を裕子に投げかける。
「遥くんは竜也さんと仲良くしてくれればいいのよ。それだけ」
そういうと裕子は遥に微笑みかけた。
母親の笑みを見て安心したのか遥はそのまま口を結び、何度か頷いて見せた。
すると裕子は何か思い出したような表情を見せ、遥を二階の自室へ行くよう促した。
それに遥は素直に従う。
二階の自室は何もないつまらない空間だった。
ベッドと勉強机、クロゼット、それに本棚。
家具はこれしかない。
今朝は散らかっていたはずの卓上は、裕子が片付けたのか几帳面に整頓されどこか寂しくもあった。
遥はベッドにランドセルを投げ捨てた。
ランドセルはベッドの上で小さく跳ねた後に静止した。
続いて遥もベッドに飛び込む。
軽いランドセルとは違い遥の体は一度大きく跳ねた。
「気持ち悪……」
うつ伏せのままそう呟く。