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Re: 戦国の世に生きる(参照300突破! 返信100突破!!) ( No.114 )
日時: 2010/11/15 16:51
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)

第参拾弐話「救いの手」

「お待ち下さい、父上!」
去り行く父を止めてしまった。どうしても告げたい事があった。
「……?」
無言で振り返る。その顔は威厳に満ちていた。
「もし私が……。この美麗が、天下を取る事が出来たら……」
あまりに緊張して声が少し震えている。
「もう一度、その誉れ高きお姿を……。どうか、お見せ下さい……」
「くくくっ、是非もなし───」
是非もなし……。“仕方ない”と言ったような意味だ。
「───はいっ」
是非もなし、と言った父上だったが、私は必ず来てくれると確信した。

父上の姿が消えて、私の世界に光が広がる。

「やっと目ェ覚ましたか……」
「政義……」
私の負傷した肩には、政義の服の一部であろう青い布が巻かれてあった。
「馬の上で気絶してたぞ」
何事かと思って肩を見れば大量の血が流れていた。
「情けない姿を見せたな」
少し瞳を伏せ、顔を俯かせる。

「さぁ、行こうぜ。残りは豊臣秀徳と竹中半蔵だ」