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Re: 戦国の世に生きる ( No.18 )
日時: 2010/11/11 18:57
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)

第参話「忌み子」

「おや、貴方は……」
月明かりに照らされて光る銀髪、血のように輝く真紅の瞳。
「……」
腰に下げている日本刀に手をかける。
「くくくっ、警戒しないで下さい。
 ……貴方を殺すつもりはありませんから」
気味の悪い笑顔でそう告げる。その姿が、明智光秀の
“貴方は殺さないでおきましょう”と言った時の姿と重なる。

「貴様……」
「ええ、そうです。貴方の大嫌いな明智光秀の落胤ですよ」
くくくっ、と気味の悪い笑いは消えない。
「……」
“落胤”……。身分の低い女とできた子か……。
「……」
互いに無言で、何とも去りがたい雰囲気である。そもそも、背を向けたとたんに斬られるかもしれない。

「……織田信長の娘……、くくくっ」
そう言って、馬に乗って去って行った。

「……と、言うこと」
「はぁ!? 明智光秀の息子が!?」
狙った獲物を取られてご立腹の様子の政義。
「しかし、大軍の北条軍を一人で……」
“侮りがたい……。是非手合わせしたいものだ”とぶつぶつ呟いている幸直。

「気をつけて。今晩はろくな事がない予感」