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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦国の世に生きる ( No.20 )
- 日時: 2010/11/11 19:30
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)
第伍話「明智 光好」
「そなた……」
槍を構えて戦闘態勢の幸直。
「くくくっ、まぁ、話を聞いて下さいよ」
ここで一息つく。
「私だって明智光秀の子供に生まれたことが悲しいですよ? しかも、側室の子でもなく、正室の子でもない」
くくっ、くくくっ、と笑いながら言う。
「……」
渋々槍を下げた幸直。
「下女の産んだ落胤、明智光秀の息子。そりゃぁ何度死のうとしたか解りませんねぇ」
どこか悲しげな瞳で語る。
「……黙れ! 下女の落胤? 謀反人の息子? それが悲しいなら今ここで死んでみろ……っ!!」
政義に背負われたままで、いまいち格好つかないが、格好いい台詞を言う。
「それはイヤですねぇ。私は仕えるべき君主を見つけたのですから」
「テメェ、まさか……」
美麗に仕える、とか言うんじゃねぇだろうな?
「ええ。そのまさかです。私が使えるべき君主は貴方だ、美麗」
「……!!」
家来にするつもりなどない。認めてやるはずもない。
「まぁ、認めてはもらえないでしょうけどね。では、次の戦です。
次の戦で戦功をたてることができたら、私を認めて下さりますね?」
美麗は体面や世間体などを気にしない。優れる者はどんな者でも上におく。
そして、使えない者は例え名族であろうと下におく。
「……よいだろう」
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