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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦国の世に生きる(参照100突破!! イェー!!(←) ( No.63 )
- 日時: 2010/11/13 16:42
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)
第拾六話「赤い花は狂おしく咲く」
幸直は、どこかモヤモヤした気持ちで戦を迎えてしまった。
「……幸直」
「美麗殿……」
「必ず生きて帰ってくれるな?」
「美麗殿も、どうかご無事で……」
また戻ってこれたら、自分の気持ちに嘘は吐かない。
今回の戦は、美麗と幸直は別働隊として移動しなければならなかった。
それが幸となるか不幸となるか───。
「私と光好と泰親。幸直と政義と京子の2軍で進軍する。幸直隊は左翼より進軍。よいな?」
「了解!」
そして、毛利軍に攻め入る。
「うおぉっ!!」
「ha!!」
「はい!」
左翼軍は大して敵はいないが、強豪揃い。だが、特に苦戦する様子もない。
「はっ!」
「ふははははっ!!」
「おらぁっ!!」
右翼は敵こそ多いものの、雑兵の集まりだった。
「殺さないでくれ───ッ!」
「……」
某はこの瞬間が嫌いだ。命乞いをされると殺しがたい……。
「愛してる女がいるんだ! まだ想いも伝えていない───!!」
「はっ───!!」
その時、真っ白い肌を真っ赤な血で染めて倒れている美麗殿の姿が浮かんだ。
何故かは解らない。だが、とても不吉な予感がした。
幸直にできた一瞬の隙を見逃さなかった兵士は、幸直の横腹を斬った。
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