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Re: 戦国の世に生きる(参照200突破!! イェー!!(←) ( No.73 )
日時: 2010/11/13 20:40
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)

第弐拾話「愛の鎖」

「目が覚めてしまったか……?」
「美麗、様……」
目の前には母親のような微笑を見せて下さる美麗様。
寝ていては失礼と思い、急いで起き上がる。
「いぎっ……」
鈍い痛みに思わず声を上げてしまう。
「寝ていてよい」
起き上がった肩を押し、寝台に寝かせる。

「……粥は食べられるか?」
「はっ、はい」
某を気遣って、粥を食べさせてくれる美麗様。
「ほら、口を開け」
少し恥ずかしそうなのは気のせいではないだろう。
「はいっ」
美麗様の隠れた優しさに笑みがこぼれる。
大人しく口を開き、口の中に入れられる粥。
時々水も下さって、美麗様の優しさが身にしみる。
「……ありがとうございます」
粥はなくなり、礼を言うと、寛大な微笑で頷いて下さった。
「なぁ、幸直」
「はい?」

「……私の事は好きか」
幸直の綺麗な茶髪に指を通らせる。ほつれ一つない綺麗な髪だった。
「この間も申しかけたように、某は美麗様をお慕い申しております」
「……それは、君主としてか?」
「いえ。誠に失礼ながら、美麗様を一人の女性とお見受けして……」
美麗様は絶世の美女と呼ばれるほど美しい。
だが、某が惚れたのは美貌ではない。美麗様の心。

「ありがとう、幸直」