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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 戦国の世に生きる(参照200突破!! イェー!!(←) ( No.87 )
- 日時: 2010/11/14 10:18
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)
第弐拾四話「狼と羊」
「……」
寝台に潜り込んでも眠れない。瞳を閉じると3人の顔を思い出して嫌になった。
「……」
部屋の外に出ると、青白く輝く満月だった。どこか物悲しくて、儚げな美しい月。
「美麗ちゃん?」
「……京子」
静かな闇を裂いたのは京子の高い声。
「女の子がこんな時間まで、あかんで? 夜更かしはお肌によくない」
「京子だって起きている」
京子と目を合わさずに、月を見て云う。
「うちは喉が渇いてお水を取りに行ってたからええの!
最近、幸直様も、政義様も、光好様も変や。何かあったん?」
「……別に」
「嘘や。なんや、恋かえ?」
「……」
「美麗ちゃん……?」
“恋なんて”って今日は否定しない。これはホンマになんかあったんやな……。
「幸直と政義から告白された。アイツからは無理矢理───」
「うん」
アイツって言うのは、光好様やな。
「───接吻」
「……そうか。それはさぞ嫌やったな。大丈夫?」
光好様、無理矢理は女の子が一番傷つくんやで? と心の中で悪態をつく。
「あぁ」
「あんな、美麗ちゃん。軍なんて男の世界や。例え美麗ちゃんが強い兵士でも、どれだけ上の立場であっても……。
男たちは簡単に手ぇ出せる。それだけは覚えとき?」
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