ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─ESP─『エスパー』3話までUP ( No.10 )
- 日時: 2010/11/13 21:30
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
04【罪を犯す能力者】
東京 某所
とある町のとある路地裏で、一人の青年が不良5人に囲まれていた。
「てめぇ、俺にぶつかって謝りもなしか?」
不良のリーダー格と思われる男は、角刈りに腰パンと不恰好である。
青年の方は髪を紫に染め、左目は髪に隠れている。
簡単に言えば、青年の方は不良と違うオーラを出している。
「無視かよ・・・。やっちゃおうぜ!!」
丸刈りの男が青年に殴りかかったその時だった。
パン!!
青年は両手を合わせ、周りに大きな音が響いた。
その瞬間、囲んでいた5人は見えない何かに押されその場から吹き飛ばされる。
「ぎゃ!!」
「うぉ!!」
「ひゃぁ!!」
3人は地面や壁に頭をぶつけて気絶。
残った2人はポカンとした表情で青年を見つめていた。
「お前ら・・・邪魔・・・・」
青年は残っている不良のリーダーの方を向くと、再び両手を合わして音を鳴らす。
その瞬間、再び不良のリーダーは何かに押されて壁に頭を叩きつけられた。
「うっ・・・・くそっ・・・・」
これで残り一人だ。
青年がもう一方の不良の方を向くと、その不良は悲鳴をあげて路地から走って逃げて行った。
「一人じゃ何もできないのか・・・」
青年は倒れている不良のポケットから財布を取ると、その場から立ち去った。
******
翌日 百宮高等学校
いつもの様に天馬は登校し、朝のホームルームが始まった。
「え〜。まずは報告したいことがあります。昨日、隣の一之瀬高校の生徒が何者かに襲われ、全治1カ月の怪我を負いました。」
担任の言葉に、生徒全員がざわつき始めた。
一之瀬高校は東京都内で不良高校と呼ばれて有名である。
しかし、天馬だけは唯一その言葉に驚いていない。
‘自分には関係ない’
天馬は頭の中でそう言い聞かせた。
それより、問題は超能力のことだ。今日は‘アビリティ’という会社にまた行かなければならない。
まあ、自分が言ったから後悔はしてないが・・。
天馬が外を眺めていると、前に座る関西出身の黒布六夜が話しかけてきた。
「なぁなぁ!!天馬は興味ないんか?なんかおもろくなりそうやで!!」
「そうでっか。」
天馬は適当に六夜の言葉に応答する。
黒布六夜はクラスのムードメーカー。クラスの人気者だ。
「なんやその返事。元気ないの〜。」
「六夜、俺には関係ないんだ。前を見ろ。」
「天馬!!言葉遣い!!」
隣に座る七海が天馬の椅子を蹴りながら怒鳴った。
天馬はバランスを崩し、前と同じように頭を窓にぶつけた。
「痛った!!」
「はは!!女子やられてん!!」
六夜は天馬と七海を見て笑う。
天馬は頭を押さえながら七海を見た。
「天馬。そういや、昨日学校帰りどこ行ってたの?」
「・・・・え?」
天馬は思わず言葉を失くした。
六夜は天馬の表情が怪訝になったことに気がつく。
「どうしたんや?」
「い、いや・・・ちょっと用事があって・・・。てか何で?」
「だって昨日、学校の帰り天馬の家寄ったら、まだ帰ってないって聞いたからさ。」
天馬は頭をフル回転させ、嘘を言おうとする。
何があっても超能力関係のことは言ってはならない。
「別に・・・寄り道だよ・・」
「どこを?別に寄る場所なんてないでしょ?」
天馬は段々と七海に追い詰められる。
その時だった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、ホームルームが終わった。
「つ、次の授業の準備しないと!!」
天馬はわざとらしく大きな声で言うと、とりあえず授業の準備を始める。
「・・・ま、いっか。」
七海はどうやら諦めたらしく、天馬と同じく授業の準備を始めた。
天馬は安堵の息をもらし、放課後まで学校生活を過ごした。