ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─ESP─『エスパー』5話UP ( No.11 )
日時: 2010/11/14 10:51
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
参照: http://アビリティ・ワールドを書き直したい・・・・

05【本城 三郎】


放課後 


天馬が学校の裏に行くと、一台の黒い車が止まっていた。
窓が開くと、見慣れた顔の松本亜樹が助手席から現れた。
「早く乗って。見られたらまずいでしょ?」
「は、はい!!」
天馬は急いで後部座席に乗り込んだ。
運転席には、髪を青く染めオールバックで整えている若い男性が座っている。
「はじめまして。俺は本城三郎だ。よろしくな!」
三郎は感じのいい笑顔で振り向き、天馬と握手を交わす。
「俺は海藤天馬です。よろしくお願いします。」
天馬も自己紹介をすると、車は会社に向けて動き始めた。


「ところで、来る気にはなったの?」
高速道路に入った途端、亜樹が振り向いて天馬に聞いた。
天馬は何も言わずに、力強く縦に首を振る。
「そう。分かったわ、じゃあさっそく仕事よ。」
「仕事?」
天馬は亜樹の言葉を復唱して首を傾げた。
すると、運転をしている三郎が仕事についての説明を始める。
「犯罪者の討伐、及び執行だ。能力者の犯罪者な。」
「でも、どうやって能力者が犯罪を犯したって分かるんですか?」
「能力を使うと、その場には微量の放射能が残る。近場の現場は俺らが足を運んでそれを調べている。」
天馬は説明を聞くと、学校の勉強よりも分かりやすいと思った。
「大方分かりました。で、その仕事内容は・・?」


「一之瀬高校生徒暴力事件よ。」


天馬はその言葉を聞くと唖然とした表情をする。
確か、今朝のホームルームで担任が話していたことだ。
「あれって能力者の仕業ですか?」
「えぇ。被害者からの証言によると、特徴は紫の髪に、触れずに攻撃したらいいわ。」
「ふ、触れずに?」
天馬は自分の炎を扱う能力しか知らないので、その話にはかなり興味がある。
「恐らく、遠距離タイプね。」
天馬は亜樹の説明を聞き、何となく理解する。
すると、運転していた三郎がミラーで天馬の顔を見ながら、口を開いた。
「天馬君、これだけは注意しとけ。」
高速道路を降りながら三郎が天馬に話かける。

「俺は以前、能力を手に入れ人格が変わった人間を何人も見てきた。お前は絶対に、力に支配されるなよ。」

「し、支配されるとどうなるんですか?」
天馬は恐る恐る2人に聞く。
2人は目を合わせると、次に亜樹が口を開いた。
「私が見てきた中で、力に支配されて自殺した能力者がいたわ。その子はあなたと同じ学生。」
天馬はその言葉を聞いて唾を飲み込む。
「気をつけろよ。」
三郎の言葉で車内は静まる。
だが、その沈黙を三郎が破った。


「超能力は決して良い物じゃない。それだけは、覚えておけ。」