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Re: 激動の乱世 オリキャラ募集← ( No.20 )
日時: 2010/11/19 16:51
名前: 千尋 ◆X7/d.TmciY (ID: iHur2k3D)

4話『動き始めた猛者』




「…山陽道・山陰道が酷い事になっているらしいな…。
 あそこでは毛利と豊臣軍が戦を行っていたと聞いたが———今、徳川も追われていて、武田軍も既に滅亡。

 …今動くべきは俺か?」

四国の土佐…山陰道・山陽道の方角を見据えて、ある人物が一人でそう呟いていた。
若々しい凛とした顔立ちで、不敵に笑うその表情には、生気がみなぎっている。
だが今はその表情は崩れ、眉をひそめ苦しそうに、何かと葛藤している様に窺える。

「いや…待て、そもそも俺はまだ四国制圧も成ってないし…いや、今は豊臣軍も毛利も手薄な筈、やはりチャンスか…?いやいや待て、もし豊臣と毛利が手を結んだらいくらなんでもキツくないか…?いや、だが…だけど…

 —————ああああああッ!決まらねぇ、どーすりゃいいんだよ俺は!!」

そしてその葛藤の末、その人物は頭を抱えたままその場に突っ伏してしまった。
自分の頭を強引にグシャッとすると、その後大きな溜息をついた。
周りから見ても、感情変化の激しい…いや、むしろ情緒不安定な様にも見えた。

そのせいか、その人物の騒ぎを聞き付けた者が彼の側にやってきた。

「元親様…どうかなされましたか?」
「どうしたもこうしたも…!
 ———いや、もういい、なんでもねぇ。その代り酒持ってきてくれ!」

元親と呼ばれたその人物はフッきれた様にそう駆けつけた者にそう言うと、ニカッと笑ってそう言った。
が、駆けつけた者は呆れたように小さな溜息をつき、改まってこう言った。

「お言葉だとは存じ上げますが…禁酒令の件について改心なされたのではありませんでしたか?
 それにその齢で酒はお体にあまりよくないかと」
「酒飲むのに年は関係ないだろ!それに50でもまだまだ若いほうなんだよ、この長曽我部元親をなめんなよ?伊達に鬼若子って呼ばれてねーんだよ」

だが、元親はそんな言葉に反論して、胸まで張ってそう言って見せた。
…だが、とてもじゃないがその容姿は50には到底見えず、まだ20歳を思わせる風貌、そして口調だった。
そして、酒はとりあえず諦め、その者を下がらせると、部屋でまたポツリと一人で考え事を始めた。

「うーむ、ここはやはり様子を見て…いや、それでは遅いか……」

だが、その日のうちにその考えがまとまる事はなかったのだった。





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