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Re: Voice of the devil〜悪魔の声〜 ( No.6 )
日時: 2010/11/13 18:21
名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)

02

 吐いた息が白い。
 今は11月のあたま。とはいえ、今年は異常気象で、公園の紅葉が落ちていないのに、この寒さ。俺は手袋の隙間から侵入してくる風を恨めしく思いながら、学校へ急いだ。
 しかし、寒いとはいえ、今朝は雲1つ無い晴天であった。確かに風は冷たいが、すがすがしい気持ちになる。

「今日は良い日になりそうだ————」
「おっっっす!!!元気かぁー?」

……誰だ。人のせっかくの朝を邪魔する愚か者は。そう思い、後ろを振り返ると———。

「よう、良介!」

振り向かない方がよかったかもしれない。
 そこには(自称)友達の愛川次郎が居た。自慢の茶髪(生まれつき)の髪をワックスで、ツンツンをたてており、服はだらっと着崩している。一言で言えばチャラ男。二言で言えば「馬鹿なチャラ男」。

「どうしたんだよ、黙ってよぉ」
「今俺は朝のすがすがしい空気を楽しんでいるのだ」
「だから何だ?」
「お前を抹殺すればこの空気がいくらか澄んでくるのではないかと——」

そんな俺の冗談を、大声でねじ伏せるとこういった。

「急がねーと遅刻するぞ!」
「…そうだな」

なんだかんだ言って、俺の中では一応友の部類に入っているのである。
 


 しかし俺はこのとき、気づいているべきだったのである。
 黒い影が忍び寄り、この平穏な日常をこわされることに———。