ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Voice of the devil〜悪魔の声〜 ( No.13 )
- 日時: 2010/12/23 16:05
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)
07
「悪魔とは人間の魂を喰らって生きています。
死んだ人間の魂を回収するのが死神なので、昔から死神と悪魔は対立がやみませんでした。
そんな中間の立場に置かれた人間は、常に双方を仲裁しました。
そしてついに争いに巻き込まれた人間が後を絶たなくなったのです」
その戦いから500年後。争いが終わった頃には、仲裁に入った人間のほとんどが巻き込まれてしまった。その当時は責任を持って悪魔と死に神が処理し、人間、悪魔、死神はほとほどの距離を保って、今まで争いもなく生活していた。
しかし、そんな穏やかな現在の悪魔界を反対する組織が内密に出来た。
悪魔は人間より長命で、短くて1200年。長いと2000年は生きる。500歳で人間で言う成人式が行われて、立派な悪魔として様々な公務に当たる。その中に今年から、『人間狩り』と言う闇の組織が出来た。その名の通りに、人間界に密入界して人間を無理矢理悪魔界に連れてきてしまうのだ。それは、先ほど言った反対派の組織の中に出来たものだった。
「そして、今年。悪魔界はその反対組織に乗っ取られてしまいました。
新悪魔界の誕生です。その新悪魔界の長、ブラッドが命令したのです。『人間界、死神界を征服する』——と」
ほこり臭い文芸部の部室の中央で、ドラマ口調で言う美少女。
……案外絵になる。
「ちょっと、聞いてるんですの?先ほどからぼーっとしてて」
「ああ、聞いている。しかし、そこで疑問が残る。悪魔界が世界征服を企んでいるのは、分かった。しかし、何故に人間である俺がお前と契約して人間界を滅ぼさなければ行かないのだ?」
そう言うと、ローズは待ってました、とばかりにあまり発達していない小さな胸を張った。美少女ではあるが、身体的にはあまり成長はしていないようだ。
「人間界を滅ぼすために、どうして人間と契約するのか。
悪魔の寿命は短くて1200年。争いが終わって500年と言うことは、まだ生きている旧悪魔が居ます。その悪魔達は人間を傷つける事を恐れている者もいます。
そこで、人間が我々新悪魔に協力すれば、旧悪魔達は問答無用で従う。長はそう考えたのです。
——ご理解いただけましたか?」
「ああ…。おそらく、今話した内容は否が応でも理解しないといけないんだろうな……」「そうですわ。意外と頭の回転が速いですのね。安心しましたわ」
勝ち誇ったような顔で言う美少女を睨む気力も無く、俺は盛大な溜息をついた。
……とりあえず部室の掃除でもするか。