ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Voice of the devil〜悪魔の声〜 ( No.14 )
- 日時: 2010/12/23 17:04
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)
08
「ちょっと、何なんですのこれ!?どうして机の下から埃まみれの原稿が出てきますの!?」「ああ、黒板の下にあるゴミ箱に投げ入れようとしたのだが、失敗したやつが机の下に捨てたままだった」
「信じられませんわ……。なんて不潔な人間なのでしょう…」
ほっとけ。
あの話が終わった後。俺はこの埃かぶった部室を綺麗にするために、ほうきと雑巾、水の入ったバケツを手に再度部室を訪れた。
そして——。
「……まだ居たのか」
「当然ですわ。私はあなたの契約者ですもの。常日頃からあなたのそばにいなければなりませんの」
冗談じゃない。我が物顔で俺の部室に長々と居座られたら、原稿に集中できやしない。
……常日頃?
「待て。今常日頃と言ったよな」
「ええ、言いましたわよ。それが何か?」
「常日頃……。俺のそばに?」
「他に誰が居るんですの?」
そうだ。俺はあいつと(勝手に)契約したんだ。と言うと、あいつの言う契約者というのは当然俺の事だろう。
「……俺の…家にまで来るのか?」
俺の中の最大の疑問を投げかけてみる。すると、その美少女はさも当然のような顔をして、とんでもないことを言い放ったのだ。
「あら、もしかしてあなたは常日頃という言葉の意味、分かりませんの?
なんて、ぼんくらな人間なのでしょう」
「ぼんくらなのはてめーだぁぁああ!!!」
その直後、再び職員室から先生が来ることとなった。
「だいたい、なんでこのあたくしが人間界の埃臭い部屋を掃除しなければなりませんの?」
「言っておくが、手伝うと言い出したのはお前だからな」
「あら、だってあなたの掃除の手つきと言ったら、逆に埃をぶちまけているだけですわ。
だったらあたくしのような完璧な美少女が掃除した方が、この小汚い部屋もうかばれますわ」
好き放題言いやがって。
俺は改めてこの女のうざったさを憎らしく思った。本当にうざい。
ちなみに、この女の背丈は俺よりも頭1つ分くらい小さい。そのため、小さいくせに威張っていると、本当にむかつくことこの上ないのだ。
「……ふぅ。まぁこんなもんでいいだろう」
掃除すること1時間半。
埃だらけで真っ白だった部室は、 ようやく人が居座れるように綺麗になった。
……それでも、真っ赤なワンピースを着た美少女には似合わない風景だったが。
実はと言うと、少し期待していたのだ。
掃除が終わったらすぐに消えてくれるのではないかと。これは掃除しなかった俺のことを怒った掃除の神様が寄越した、悪魔なのではないかと。
——まぁ神様と悪魔をつなぎ合わせるのは、さすがに罰当たりか。
「なんですの、人の顔をじろじろと」
「……何でもない」
早くこいつと縁を切りたい。
俺は神様でも仏様に祈った。……もうこの際は悪魔にでも祈りたい気持ちだった。