ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Voice of the devil〜悪魔の声〜 13話更新 ( No.39 )
- 日時: 2011/01/16 15:25
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)
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「ねぇねぇ。ローズって可愛い名前だね!」
「どこか外国の人?」
「すっごく美人だよね!」
「羨ましいー」
休み時間になるたびに俺の席の後ろで人だかりが出来ていた。
……訂正。俺は邪魔だと言われて、次郎の席へと避難している。
「すごい人気だな、転校生」
「べーつにー」
「可愛いよなぁ」
「べーつにー」
どうせ最初だけだ。後からあいつの本性を知ったら、驚くぞ。
「部活とかどうするの?」
「運動得意?」
「演劇部おいでよ!綺麗だから、それだけで人気出るよ!!」
あ、埃臭い部活には来たがらないぞ。
掃除は手伝ってくれるが、埃臭いところはやめたほうがいいな。
つまり、文芸部には入らないと言うことだ。
なんて、心の中で忠告していると——。
「いえ。あたくしは、すでに文芸部に入部届を提出してきましたので」
「ちょっと待てぇええええ!!!」
待て!!ストップ!!そんなさわやかな笑顔で言われても困る!!
「なんですの?良介さん」
「お前がいつ文芸部に入部届出したのだ!?俺は受け取っては居ないぞ!」
そう言うと、ローズは俺の頬に細長い綺麗な手を伸ばすと……。
「いでででっ!!」
「このあたくしがあの埃臭い部に入って差し上げるのよ?何か文句でも?」
何様のつもりだ!!そんな傲慢な態度な奴はこっちから願い下げだ!!
…なんて、こんな人が大勢居るところでは言えず。
「……は、入ってくださるのですか?ローズさん」
「ふふっ。ええ。もちろんですわ♪」
くっ。……人生最大の屈辱!!
——文芸部部室——
「これで良いか…?」
「えぇ。満足ですわ♪」
体育館に放置されていた、なるべく綺麗な机と椅子を持ってくると、俺は自分の椅子に座った。
「つ、疲れた……」
「お疲れ様ですわ」
「いったい体育館から部室までどれくらいあると思ってるのだ!!」
今俺の膝は尋常じゃないくらい震えているぜ。
ついでにこの女の傍若無人ぶりに、顔の筋肉すべてが引きつっている。
マジでキレる3秒前だ!!
「それにしても。あなた、昨日の今日なのにずいぶんと落ち着いていますのね」
「なんのことだ?」
「いえ。たいていの人間は、人間界征服するために力を貸してくれなんて言われたら、
こんなのこのこと学校になんか来られませんわよ?」
ああ。なんだ、そのことか。
「起きてしまったことは仕方がない。だったら、何も起きていない今を楽しむしかないだろう」
俺の言葉が意外だったのか、ローズはしばらく黙っていた。
そして、口元に妖艶な笑みを浮かべる。
「……果たして、本当に何も起きていないのでしょうかね?」
「……はぁ?」