ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Voice of the devil〜悪魔の声〜 15話更新 ( No.50 )
- 日時: 2011/01/27 20:38
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: Fn07flnU)
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「では、さっそく行動を起こしますわよ」
「行動?」
ローズはそう言うと、優雅な足取りで部室の扉を開けた。
「えぇ。まずは、長らく欠席していた生徒に会いに行きます」
「あ、会いに行く?」
何を言ってるんだ?まったく…ま、行くなら1人で行けよ。
俺は文芸部の〆切があるからな。
「何をたいそうなことを言っているんですの?文芸部って言ったって、あなた1人しか居ないじゃないですか。それなのに〆切とか言うなんて、全国の文芸部に失礼ですわ」
「……まぁそれは冗談として。どうしても行くのか?」
「当たり前ですわ。ほら、ぐちぐち言ってないで早く行きますわよ」
ローズは俺の手を引っ張ると、さっさと保健室へと連れて行った。
——保健室——
「失礼します」
「はーい。あら、佐々山君。可愛い彼女を連れて、どうしたの?」
うっさい、彼女じゃない。
保健室の先生は、春木綾乃先生。名前は可愛いが、歳は明らかに20代後半の女性だ。この先生は大のゴシップ好きで、先生のいれる紅茶をお菓子を目当てに通う女子生徒から、いろいろなネタを聞き出している。ちなみに新聞部の顧問でもあるため、そのネタは新聞部によって公にさらされることになる。
「彼女じゃありません。それより、ここ一ヶ月あたりで長らく欠席していた生徒を教えてください」
「はぁ?どうしたの、いきなり」
まぁそういう反応が正解だわな。
「あ、いえ。その…一斉に長く欠席した生徒が現れたことを土台にした、小説を書こうかな…って」
「そうだとしても、欠席者の名前を教えなくても良いんじゃない?」
ぐっ…。まぁその通りだけど…。っつーか、ローズ。お前も黙ってないで何か言えよ。
「分かりましたわ…。先生、失礼します」
「え?」
何を思ったのか、ローズは春木先生のおでこを人差し指で押すと、何かぶつぶつ言い始めた。
「ここ一ヶ月あたりで長らく欠席してた生徒のリストを見せなさい。さもなくば、あなたの魂をいただきますわ」
「…………はい。少々お待ちください」
先生の目がうつろになったかと思うと、パソコンから何かを印刷し始めた。
「おい!魂をいただくって!?」
「お静かになさい。少し悪魔の力を使いましたわ。恐怖の感情を生むことによって、自分たちの要求を受け入れてもらうと言うことですわ」
「それを人間界では恐喝という」
何となく……。何となくだけど、先行きが不安になった。