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Re: Voice of the devil〜悪魔の声〜 17話更新 ( No.59 )
日時: 2011/03/06 16:26
名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: Fn07flnU)

18
——オカルト研究部——

「だから、こっちはその条件を呑んだんだ!そっちも飲んでもらうぜ?」
「お主らの条件はこちらが不利になるではないか?!」
「まったく…。さっさと自らが餌になればよい物を…」
「おぬしは黙っていろ!」

オカルト研究部の部室で、俺と研究部部長の岡田が10分以上言い争っていた。——話はさかのぼる。



「失礼する、佐藤に用があるのだが——」
「「おおぉぉ———!!!」」
「な、なんですの?」

俺たちが部室に入ると、全部員(15名)がローズを見るなり歓声を上げた。まぁあんなに美人だからな。当たり前———。

「是非観察させて下さい!(研究対象として)」
「( )の中の言葉丸聞こえだぞ!」

研究対象として歓迎されたローズは、すぐさまその形の良い胸をこれでもないほどに張った。そして女王様のような尊大な態度で言う。

「あら、このあたくしに研究対象として観察させろなんて…、良い度胸をしていますのね」
「おぉ——。この美貌にこの尊大な態度。きっと何処かの星の女王様に違いない!」

今俺は確信した。このオカルト研究部は、『ちょっと頭がアレな者達の集まり』だと。そしてその頂点に立つ部長は、中二病の塊だと。

「そしてこの女王様は言うのだ。これまでにない高いヒールを俺たちの前に出して——」
「おおー!部長、それは我々地球人にとっての挨拶ですね!」
「そうだ。『この靴をなm——』」
「ちょっとツッコンでいいかそこの中二病連中!」

危ない!その発言はなんて言うか、危ない!って言うかもはや中二病という言葉では済まされないぞ!部員全員にさっさと病院に行くことを進めるぞ!

「おや、これはこれはオカルト研究部の小機関『文芸部』の部長、佐々山君ではないか」
「誰がいつ、このような危ない集まりの小機関になったのだ」
「ああ、間違えた。オカルト研究部の小機関『文芸部』の部長、オカルト佐々山ではないか」
「そこを訂正するな!って、ローズも岡田を睨むでない!」
「オカルト佐々山、俺は一応お前の先輩だぞ?呼び捨てにするのは、些か不満だがね」
「ああ、不満ともさ!お前のような奴を先輩と呼ばなければならないのはなぁ!」
「ちょっとあなた、あたくしの許可無くじゃれ合うのはよして下さらない?あたくしは早くこの埃臭い部室を出て行きたいのですから」
「これのどこがじゃれ合っているのだ!」

こ、これでは話が前に進まない…と言うより、進む前に一度帰ってHPを回復したい気持ちだ…。

「まぁ冗談はこれぐらいにして、佐々山君はこの部室になんのようだね?」
「単刀直入に言う。1年の佐藤に用があるのだ。佐藤武にな」
「良かろう。ただ、佐藤武の情報を与えるのには、条件がある」

何でだ!?ただ佐藤に用があるだけだろうが。何でそこで全く関係がない岡田が出しゃばってくるのだ。

「その条件とは——そこの美少女を我らに譲ってもらおう」
「喜んで差し上げる」
「ちょっとお待ちなさいなそこの愚民達!」

おおう、これまでボケにしか走らなかったローズがなんかツッコンできた。
と言うか、なんにも問題はないだろう?

「問題大ありですわ!」
「何故だ?オカルト研究部は観察するものが手に入る。我はたちまち平穏な生活が手に入る。これほどすばらしい事は無い。これで戦争も無くなるな」
「ああ、そんなすがすがしい顔で言ってくださっても、こちらは全く納得がいきませんわ!こうなったらこちらからも条件を提示させていただきますわよ。
——もれなくあたくしのおまけとしてこの佐々山良介も差し上げますわ!」
「何でだよ!」

火の粉が飛んできた!って言うか自分で自分の首を絞めたな、俺!墓穴を掘った!

「よろしい、交渉成立だ」
「待て待て待て!」



そして今。……全く話は進んでいなかった。……あのぉ、本当にこの先大丈夫だろうか。と言うか、一歩も進んでいないのにお先真っ暗なんだが……。