ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第一章 ひとつの欲望から ( No.1 )
- 日時: 2010/11/14 10:10
- 名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)
何で私が天使になったかなんて覚えてない。
何で真っ白じゃなくて真っ黒なのかも分からない。
ただひたすら、人の願いを叶えることになった。
*-*-*
「黒天使No.597683」
「??」
「これがお前の番号だ。」
「………」
「これから人間界に行ってしっかり働くんだぞ。」
「………」
「別に心配することは無い。思いっきり人間に混ざってお腹いっぱいになるといい。では。」
「………」
私は自分が真っ黒な天使だってことを知ってる。
でもなんで真っ黒なのかは分からない。
人間界に来てから夢でこの夢ばかり見る。
何故? 聞きたいことは沢山あるけど、私を
《黒天使No.597683》なんて呼んだ人が誰かも分からない。
「………華蓮? どうしたの? ボーっとして。」
「え!? あ、なんでもない。」
話しかけてきたのは優莉【ゆうり】。 人間界ではものすごく愛想が悪い私に
唯一話しかけてくれる友達。
いや、真っ黒な天使と人間が友達なわけないか。
「ふ〜ん… 華蓮がボーとしてるなんてめずらしいなと思って。」
「そうでもない。」
「あ、相変わらずその冷静さだけは変わらないんだね。」
私は《黒天使No.597683》という仮名(?)を隠し、人間界では華蓮【かれん】という名前になった。
まぁいい名前だし、私的には気に入っているけど。
人間界の姿では16歳の高校生になってる。
「お腹すいた…」
「また!? さっき食べたばっかりじゃない!」
「売店でアイス買ってくる。」
(こ、こんなに寒いのにアイス…)
「私は教室で待ってるから〜」
だってお腹すくのは仕方ないもん。
人間界に来てから食べても食べてもお腹すくし…
売店に行く階段を下りた。
売店につくと大変なことが起きていた。
私の大好きなバニラが売ってない!!
「あ〜 またアイス買いに来てくれたの?」
「はい。」
「ごめんなさいね〜 もう誰も買わないと思って出さない事にしたのよ〜」
………最悪。
今日一日黒天使の仕事できない。
そもそも仕事って何?
これからも、ただの真っ黒な天使として人間界にいるつもりだったのに、
すべてを変えたのは、ある人だった。