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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第一章 ひとつの欲望からⅣ ( No.4 )
- 日時: 2010/11/17 20:35
- 名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)
真っ黒な天使の部屋は入り口がない。
出口も無い。
閉ざされた部屋だった。
電気は青い電気で壁の色は紺色。
まさに真っ黒な天使の部屋。
「うっ…ここは…」
『ここは真っ黒な天使の部屋。』
「やっぱり貴方は…」
『そう。貴方のいったとおり、真っ黒な天使。』
「願い…叶えてくれるんでしょ?」
『絶対叶えるって言ったら嘘になる…』
「どういうこと?」
『願いを叶えるというより、夢を見せるの。』
「夢?」
『夢の中が幸せすぎて、現実が思い出せなくなったとき、貴方は現実の世界で
永遠に眠る事になる。夢の中で、どんなに幸せでもこれは現実じゃないんだと一週間思い続けたら、
現実の世界に戻れる。』
少女は考えることもなくこう言った。
「私に、その夢を見させて!!!」
『いいでしょう。貴方の夢を教えて。』
「………本物のお母さんとお父さんに会いたい……」
『現実に戻ったとしても、真っ黒な天使を頼ったのだから、それなりに地獄が待ってる。
それでも?』
「私は何でも受け入れる!」
『フフッ 貴方の名前は?』
「中原 綾香【なかはら あやか】。」
『綾香。貴方が思う一番居心地のいい場所で私を呼んで。』
「分かった。必ず来て。」
『“必ず”ね。』
辺りが白い光に包まれると、綾香はベットの上にいた。
でも、華蓮は保健室からいなくなっていた。
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